青空に映える一橋大学の兼松講堂…

 

 

1927年に建造された、ロマネスク様式の美しい講堂は…

空調などの大幅な改修が行われて以来、ますます人気のホールになっています。

 

 

一橋大学の学生以外にはなかなか借りられないこのホールで行われたのは…

 

「子ども大学くにたち」主催、国連大学学長のチリツィ・マルワラ先生の授業です。

 

 

国連大学は、唯一日本(東京都渋谷区青山)に本部をおく国連機関。

 

世界中のすべての人にとって、安全で平等で持続可能な未来をつくるために研究と教育をする団体です。

 

 

学長のチリツィ・マルワラさんは、南アフリカ共和国出身の人工知能エンジニア。

 

2030年までに達成すべき持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のために、AIがどのような役割を持つのかというテーマでお話をいただきました。

 

 

マルワラ先生は、子どもたちにも聴き取りやすいように…

ゆっくりと丁寧な発音で、英語でお話しをしてくださいます。

 

 

例えば、目標2の「飢餓をゼロに」

 

現在の世界を40人の教室と考えると…

28.1人(70.4%)は「食料不安のない状態」です。

 

一方で、7.3人(18.3%)が「中程度の食料不安(食料の量が十分でなかったり、安く手に入る健康にはあまりよくない食品に頼ったりせざるをえない状態)」にあり

 

4.5人(11.3%)が「深刻な食料不安(その日食べるものがない、明日以降も食べ物を得られるかわからない状態)」にあります。

 

この状況を改善するためには、世界のどんな国でも安定的な食料の供給ができるよう、持続可能な食料生産の仕組みづくりや農業の支援が必要です。

 

その取り組みにAIが活用されると…

 

莫大な情報量で気候や土地に応じた農業の仕組みを構築したり、さらにドローンなどと組み合わせて活用することで、農作物の生育を効率良く助けることもできます。

 

それぞれの国や地域で、その土地に応じた農産物をたくさんつくれるようになれば、飢餓は確実に減っていきます。

 

また、日本のように多くの食品廃棄が起こっている国では、それを無くすための取り組みをAIが考え出すかもしれません。

 

「AIを知っているひと」の問いかけに、子どもたちの多くが手を挙げていましたが、先生のお話で、AIを使いこなす具体的な未来が見えてきたのではないでしょうか。

 

講演の最後は質疑応答の時間でした。

 

ここでは、小中学生の質問を市内の高校生たちが英語に訳してマルワラ先生に伝えるという、ちょっと素敵な趣向で進行されました。

 

「子どもはケンカをしても仲直りできるのに、なぜ大人は戦争を止めないのですか?」

 

「AIの素晴らしさは分かりましたが、AIのデメリットはなんですか?」

 

など、核心を突く難しい質問も飛び出しましたが、マルワラ先生は全ての質問に丁寧に分かりやすく答えていらっしゃいました。

 

随所にユーモアを交えながら、ときには子どもたちの声を引き出して…
楽しく好奇心を刺激するマルワラ先生のお話は、私たち大人にとっても大いに勉強になる講演会でした。

 

 

マルワラ先生、ありがとうございました。

主催してくださった「子ども大学くにたち」とそれを支えるみなさまにも感謝申し上げます。

 

P.S.

マルワラ先生が、ゆっくり丁寧な発音でお話してくださったので、少しだけ英語で聴き取ることができました。


ちょっと嬉しい〜(*^^*)

 

※ブログの写真は理事長に許可をいただいたものを掲載しています