この日は、朝から異様な雰囲気に包まれていました。

 

ふだんは傍聴者などほとんど居ない委員会室に…

入りきれないほどの傍聴者。

 

議員の質疑に答える当局側の職員も緊張した面持ちで着席しています。

 

そんな中、どうしても確認しておきたい事実があったので…

自分の持ち時間の全てを1つのテーマで質疑をさせていただきました。

 

国立市が進めようとしている「フルインクルーシブ教育」についてです。

 

私はこれまで…

永見市長が施政方針で示された令和元年から、一貫してその真意を問い続けてきました。

 

なぜなら、通常は「フルインクルーシブ教育」と聞けば、イタリアで行っているような「障害をもつ子どもも持たない子どもも、普通学校の通常学級で一緒に学ぶ教育」をイメージするからです。

 

つまり「特別支援を無くして、みんなが同じ教室で学ぶ」ってこと。

 

このブログでは何度も書いてきましたが…

今の日本の学校制度の中では子どものダンピングに繋がりかねない、とても危険な思想です。

 

しかし、国立市は「特別支援は無くさない」「個別支援をたいせつにする」と、そのオリジナル性を強調し、今までの制度を維持する姿勢も見せてきました。

 

その言葉を信じて、なんとか市長のお考えにも寄り添おうと思っていたのですが…

 

昨年5月に協定を結んだ東京大学のWebサイトには、全く趣旨の異なる記載があったのです。

 

 

ここでいう「フルインクルーシブ教育」とは、すべての時間において普通学校普通学級において安心して共に学ぶ権利をすべての子どもに保障する教育を意味します。特別支援学校などを含む「インクルーシブ教育システム」と区別する意味で「フル」を敢えて付しています。

 

国立市の考え方とは明らかに異なります。

 

それを質したのが、以下の私の質疑です。

 

☆フルインクルーシブ教育について☆

 

 

「特別支援をなくさない」と「特別支援をなくしていく」では全く方向性が違います

なぜ、こんな齟齬が生じるようになったのでしょうか…

 

協定を結ぶときに、お互いの意志をしっかりと確認されたのでしょうか?

 

向かいに座る議員席からは終始ヤジが飛び…

傍聴席からも悲しくなるような言葉が飛んできます。

 

それでも質さなくてはいけないと思いました。

 

なぜなら、私は市民から「特別支援を守ってほしい」という切実な声をいただいているからです。

 

むしろ特別支援だけではなく、多様な学びの場があるべきだと思うのです。

 

国立市には「はたけんぼ」という、学校とは別の屋外で身体を動かしながら学べる場所もあります。(ここでの学習は出席日数としても認められます)

 

家で学びたい子どもにはオンラインやバーチャルでの出席も可能にして欲しいです。

 

これは、子どもを甘やかすのではなく…

むしろ選択肢を増やして「子ども自身に選ばせる」という、ひとつの学習機会だとも考えています。

 

スペシャルな学びを得られる特別支援学校もいいし…

のびのび自由に発言できる特別支援学級もいいし…

お馬さんと学べる「はたけんぼ」もいいし…

大学までストレートで行ける私立の学校を選んでもいい。

 

いろんな選択肢が世の中にはあって…

どれが自分に合うかは、入ってみないと分かりません。

 

だから、今までよりも「よりシームレスに」学校間や学級間を行き来できる、本物のインクルージョン教育を進めていただきたいと思っています。