私が手話と出会ったのは…
2009年に公開された、映画『ゆずり葉』に出演したときでした。
この映画の監督は、早瀬憲太郎さん。
教育者であり、ろう者でもある映像作家です。
撮影現場では手話で指示を出され、(もちろん通訳者さんはいるのですが)はじめは戸惑うことばかりでしたが…
監督の表情と身振りを見ていると、手話を知らない私でも、自然と言いたいことが伝わるのを感じていました。
「手話は、人に伝えるための言葉なんだ…」
その後…
出演していたNHKの『福祉ネットワーク』で、ろう者の方とご一緒する機会も多かったので、「少しはわかる」程度には覚えていましたが…
2015年に国立市議会議員になった翌々年に…
映画『アイ・ラヴ・ユー』や『アイ・ラヴ・フレンズ』(いずれも聴覚にしょうがいを持つ女性が主人公です)の制作を手懸けたプロデューサーが訪ねて来てくださり…
江戸川区や荒川区で検討がはじまったばかりの「手話言語条例」について、ご意見をいただくことになったんです。
同時に…
広聴委員長として課題に感じていた、視覚や聴覚に不自由がある方への情報保障についても考えることとなりました。
すぐに取り組んだのは、自分自身が手話を覚えること。
(これができないと当事者のご意見を聴くことができません)
入門講座ではありますが、なんとか基礎を覚えることができました。
と同時に…
改めて、手話を覚える難しさを痛感します。
ふだんの生活の中では話し相手が居ないからです。
手話で話せる人を増やしていかないと、聞こえない人の不便はなくならない!!!
そんな思いで…
一般質問でも手話言語条例の必要性を訴え続けました。
2018年から少し時間は掛かってしまいましたが、本定例会でその条例案が上程され…
昨日の福祉保険委員会で審査することができました。
「手話は独自の文法を持つ一つの言語である」ことを前提に…
手話を使用しやすい環境づくりを推進するための条例です。
当然、この条例案を審査する委員会には当事者のみなさまが傍聴に来られます。
また、インターネット中継でご覧になる方や…
アーカイブの録画で見たい方が居るかもしれません。
聞こえない方に委員会審査の様子を見ていただくためには、ぜったいに手話通訳が必要だと思ったのですが…
実は…
「本会議」のための手話通訳の予算は計上してありますが、これまで委員会の審査に手話通訳を付ける予算は取っていなかったのです。
本会議の予算を流用することは不可能ではありませんが…
ルールが厳しい役所の予算の流用は、かんたんなことではありません。
先ずは、委員会メンバー全員の意思と団結が必要です。
オンラインとリアルでミーティングを繰り返し…
この条例案の審査にはどうしても手話通訳が必要だという決意を固めました。
さらに、当事者、手話通訳コーディネーター、手話通訳者の方々と、福祉保険委員が意見交換を行って、どのような方法で行うかを検討しました。
中継を行う議会事務局の職員さんたちにもご協力をいただき…
実際に委員会室でシミュレーションも行い、手法を決めました。
議長、副議長にもご協力をいただき…
会派代表者会議を開催して、最後は議員全員のご賛同をいただいて…
9月8日の委員会審査を行うことができたのです。
手話通訳を付けながらの質疑応答は、発言と手話のタイムラグを考えながらの進行をしなければいけません。
それでも、委員のみなさまのご協力のもと…
熱の籠った、たいへん充実した委員会審査ができました。
採決で全員異議無く「賛成」となったときには、熱い思いが込み上げました。
どこからともなく拍手が起こり…
傍聴席ではヒラヒラと、音の無い拍手が美しく舞っていました。
「住む人の幸せのために議会がある」
それをリアルに感じることのできた、この日の委員会審査でした。
正式には…
手話言語条例の制定は15日の本会議の採決で決まります。
気を抜くことなく、多くのみなさまにご理解をいただけるよう…
これからもがんばりますね!
P.S.
数日後には、委員会の様子がインターネットで公開されるので、そちらもぜひチェックしてください(*^^*)