今夜は、ファイナンシャルプランナーとしての備忘録。

 

財務省は、8月30日から9月28日までの間に実施したドルを売って円を買う為替介入の金額が、過去最大規模の2兆8382億円だったことを公表しました。
(全て9月22日に実施されたとみられています)

 

市場関係者の推計でも3兆円くらいの円買い介入が実施されたと予測されていましたから、ほぼ推定通りだったということです。

 

この円買い介入で、145円90銭近くまで進んでいたドル円は、一気に140円台まで下落しました。(5円ほど円が騰ったということです)

 

しかし、週明け月曜日の為替市場では再び円を売る動きが進み、その日のうちに144円台に戻していました。

 

ここ数日のチャート(1時間足)をみるとこんな感じ。

たしかに、介入前の水準近くまで戻しているように見えますよね。

 

 

これを受け、ネットニュースやSNSなどでは

「3兆円の円買い介入は無駄になった」

「財務省は、3兆円を溶かした」

などと批判が相次ぎ…

 

テレビなどでよくお見かけする経済学者の先生までも…

「3兆円をドブに捨てた為替介入」

「22日の円買いドル売り介入は3兆円規模で過去最大だったが、1週間であっという間に、もくずと消えた」などとツイートされていました。

 

たしかに、円を押し上げるだけの目に見えた効果はありませんでしたが「ドブに捨てたり」「もくずと消える」などということはありません。

 

そもそも、「ドルを売って円を買う」介入は、いわば通貨の交換をしただけなのですから、3兆円が無くなるわけではないのです。

 

しかも…

ここからは「3兆円はなくなったどころじゃなくて…」という私見です。

 

先ず、基礎知識として…

為替介入は通常の予算として使う一般会計ではなく、外国為替資金特別会に保有されている外貨準備を使って行われます。

 

外貨準備の大半を占めるのは外貨建て証券ですが、例えばその中の米国債を売却して為替介入に踏み切るようなことは(米国の理解を得られないので)ありえません。

恐らく、換金流動性の高い「外国中央銀行およびBIS(国際決済銀行)」への預金取り崩しで行われたのではないかと考えています。

 

そもそもBISは為替の急激な変動などに備えて預金するための銀行で、これまでも為替介入のたびに使われているのではないかと思っています。

 

「為替介入」と言えば、直近で印象的だったのが…

2011年に実施された「大規模な円売り介入」です。

 

当時、75円台まで高騰した円高を抑えるために、政府・日銀で大規模なドル買い円売りの介入を実施しました。

介入の規模は、7~8兆円ともいわれています。

 

このときも、すぐには円高が収まらず、円を売る介入を何度も(大規模なものは3回)繰り返したことを覚えています。

 

しかし、けっきょくこの介入を含むアベノミクスをきっかけとして、円高は修正されていくことになりました。

苦しんでいた輸出企業も、これで息を吹き返すことができたのです。

 

そのときのチャートがこちら。

(※月足なので、赤や青の線1本が一ヶ月です)

 

 

たしかに介入後も数ヶ月に渡って円高は続きましたが、その後は介入した水準を下値に、大きく円安へと戻していきました。

 

 

さて…

(ここからがミソ!)

 

2011年に買ったドル資産は、先ほども述べたように外国為替資金特別会に保有されました。

 

そのときのドル円(79円くらい)を、今回の円買い介入で使ったとしたら…

 

つまり、79円で買ったドル円を、145円で売ったとしたら、いくらの為替差益(実現した利益)が出たのでしょうか?

 

79円で買って保有していた約2.8兆円分のドル円を、145円台で決済したら、(私の試算では)2兆円ほどの利益がでていることになるんです!

 

ドブに捨てたどころか…

日本政府は「2兆円も儲かった!!!」ということです。

(※あくまで私個人の試算によるものです)

 

もちろん、為替介入は国の資産を増やすために行う行為ではありません。

それに、残念ながら特別会計の歳入なので、儲かった分を国民に分配するようなことも(基本的には)できません(^^;)

 

ただ、財務省が大規模な介入をしたことで、為替市場も明らかに慎重になってきています。

 

今後、146円を突破するようなことがあれば、再び円を買う介入をするかもしれません。(私はほぼ確実に行うと思っています)

2度3度と行えば、投機的なドル円買いを抑え込むことができるかもしれません。

 

ドル円の日足チャートを見てみましょう。

(※日足なので、赤や青の線1本が1日です)

 

 

この図柄から何を感じ取りますか?

 

右側に進んで行く線は、果たして上に行くのか下に行くのか…

 

FXをやったことがある人も、ない人も…

チャートから未来を想像してみることで、この先の景気の行方が見えてくるかもしれません。

執るべき行動もわかってくるかもしれません。

 

円安が現在の物価高を招いていると報道されていますが、ただ悪者扱いをして封じ込めればよいわけではないと思っています。

 

もともと輸出大国であった日本にとって、円安は大きなメリットだったはず。

 

この際、再び海外にモノを売り込む政策や、海外からのインバウンドを呼び込んで、外貨を稼ぐ企業や店舗を支援してはいかがでしょうか。

 

ただお金をバラマくより、どんどん稼いで全国民の収入アップを狙いましょうよ!

 

…と、

今夜はファイナンシャルプランナーの石井めぐみでした。

 

※ブログの内容は、私個人の知識の中で推測したものです。

数値など誤りがあるかもしれませんので、投資などの参考にはしないでくださいね(笑)

 

 

カーテンが赤く染まるほど美しく燃えた、今日の夕景。

 

 

さて…

明日から国立市議会では決算特別委員会がはじまります。

 

決算特別委員会の委員長として、しっかり審議を行えるよう今夜のうちに準備を整えなくては…。