「ダブルケア」と言う言葉をご存知でしょうか。

 

家族や親族などにおける複数のケア関係のことです。

 

例えば、「子育て」と「親の介護」の両立。

どちらもケアが必要ですが、種類の異なるケアなので、そのケアに関わる人には大きな負担が掛かります。

 

女性の晩婚化に伴う出産の高齢化などで、育児と親の介護が同時期に必要になるケースが増えているとも云われています。

(もちろん、子育ても介護も女性だけが担うべきものではありません!!!)

 

平成28年に内閣府が行ったダブルケアの実態調査では…

推計人口ですが、25万3,000人となっています。

 

男女別にみると、男性が8万5,000人、女性が16万8,000人。

ダブルケアを行っている女性は、男性の約2倍です。

 

今後、日本人の寿命がますます延びて行くなかで…

介護やダブルケアは、もっともっと身近な課題になっていくのかもしれません。

 

今日は「ひらや照らす」で、「第14回地域ケア勉強会」

 

 

ダブルケアの問題に取り組んでいるNPO法人「こだまの集い」代表の室津瞳先生を講師に迎えて、お話を伺うことができました。

 

室津さんご自身も、両親の介護と3歳の長女の子育て、自身も長男を妊娠中であるダブルケアを経験され、ダブルケアの支援制度が未整備であることを実感したそうです。

 

 

それでも、家族やご近所、友人、行政サービスなどに頼ることで、ダブルケアの苦しい時期を乗り越えることができるとおっしゃいます。

 

考えてみれば…

(当時はそんな言葉すらありませんでしたが)私自身もダブルケアの経験者でした。

 

医療的ケアが必要な長男と、生まれたばかりの次男…

 

 

30分おきに痰の吸引が必要な長男と、2、3時間置きにミルクを欲しがって泣く次男を出産直後のカラダで育てるのは、ほんとうにキツかった…(;;)

 

そんな私を支えてくれたのは、ご飯を届けてくれる近所の友人や、長男と同じ療育センターに通っていたママ友たち。

ときには、出産をした病院の看護師さんに頼ることもありました。

 

さらに、次男を生後45日から預かってくださったピオニイ第2保育園の先生たち。

長男の具合が悪くてお迎えに行けないときには、園長先生がご自宅に泊まらせてくださることもありました。

 

そんな人たちの助けがなければ、私は人生を諦めていたかもしれません。

 

 

そして何よりお世話になったのは…

当時住んでいた多摩市の職員さんです。

 

高齢者介護とは異なり、ケアマネージャーが居ない子どもの介護は、親が自分で情報をかき集め、使える制度を探していくしかありません。

 

そんなとき、ひとりの若い職員さんが私にこう言ってくれました。

 

「多摩市は新しいまちなので前例というものがありません。必要なサービスを必要な方が使ってくだされば、それが前例になるんです。だから何でも言ってください」

 

行政の福祉サービスは、基本的には利用する対象や使い方などが決まっていますが、実は現場の判断で「使えるようにする」ことも可能です。

しかしながら、たいていの場合は「前例がないので…」と断られたり、責任が及ぶことを恐れて利用の範囲が狭く限定されてしまいます。

 

介護保険を使ったサービスが杓子定規なのは、まさにそのケース。

 

医療的ケア児がまだ少ない時代には、対象となる行政サービスがほとんどありませんでしたから、その言葉はほんとうに嬉しかったです。

 

室津先生のお話しを聴きながら…

 

30年前の自分を思い出していました。

 

 

今後は、「ダブルケアがスタンダードになる」ことを前提に、社会資源を整備していかなければなりませんね。

 

本来は国が行うべき政策ですが…

先ずは現場が近い基礎自治体から、ケアラーの支援を充実させていきたいです。