毎日のようにワイドショーを賑わせている「年金足りない問題」・・・

 

さらに、イマイチ争点がズレてモヤモヤだけが残った党首討論・・・

 

政治家もテレビ局も、しっかり年金の核心を伝えてくれないので、

年金が破綻しない理由を、私なりに解説させていただきます。

 

長文なので、時間のあるときにお付き合いくださいね。

 

 

先ずは・・・

 

☆年金基金が枯渇するという「誤解」

 

年金は毎年50兆円ほどの年金の支払いをしていますが、今のところ、その額を微妙に上回る歳入があります。

 

平成29年度の厚生年金では、歳入が48兆0114億円、歳出が46兆4233億円なので、1兆5881億円ほどのプラスです。

 

 

国民年金も、歳入が4兆1740億円、歳出が4兆1607億円で、微妙ではありますが133億円のプラスを維持しています。

(※平成30年度の収支は今年8月頃に公開される予定です)

 

ただし・・・

年々、このプラス額が減っているのは事実です。

寿命が延びたことで受給者数が増加しており、平成28年度に比べると、厚生年金では1兆5079億円、国民年金では360億円もプラスが減っています。

 

「人生50年」と云われた時代から、今や「人生100年時代」になっています。

年金制度がはじまった当初からは想定もできない「長生きする良い時代」が訪れているのです。

 

「人生50年」は古過ぎるとしても、当初想定していた年金の受給年齢は、せいぜい10年〜20年程度だったのではないでしょうか。

それが、今後は30年~40年となるわけです。

今までと同じ年金の掛け金で、同じ金額を支払うのが難しいことは、誰が見ても分かりますよね。

 

なので、

これを「年金詐欺」などと避難するのは、ちょっと疑問です(^O^;)

 

 

ただ、このままでは先ほども示したように、年々収支のプラスが減り、マイナスになっていくことは明白です。

 

そこで考えられたのが「マクロ経済スライド」という制度です。

つまり「永く支給する分、少し月額を落とすことになりますよ」という制度。
(物価の上昇によっては増えることもあります)

年金制度を破綻させることなく安定的につづけるための制度なのです。

 

さらに・・・

年金の積立基金は運用で収益を上げています。

 

先ほど示した収支でプラスとなった額が、年金積立金に繰り入れられ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で運用されているのです。

 

ちなみに、

平成29年度の決算後の年金積立金は、119兆2427億円。

 

 

☆GPIFは意外とがんばっている

 

GPIFでは、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式など、リスクを分散させた投資を行なっています。

 

私たち一般人がGPIFの運用状況を確認できるのは公式ページの速報しかないので、最新でも2018年度第3四半期の数値になります。

 

 

2001年度からの累計で56兆6745億円のプラス!

 

運用利回りは年率で2.73%のプラスです。
(この低金利時代に、これはけっこう良い数字!)

 

ただし、安倍さんが党首討論で「44兆円のプラス」と言っていたので、リアルな最新状況はその数字なのかも知れません。

 

「じゃあ、12兆円も損をしちゃったの!?」とまた驚かれるかもしれませんが、GPIFの基金の運用は超長期投資です。
四半期毎に決済をしているわけではなく(まして株価が安いときに損切りするような決済はぜったいにやりません)、提示されているのは、あくまでもその時点での株価や為替レートの変動に因る「評価損益」の数字です。


つまり、一時的に数字が下がっても、株価などが戻れば何事もなく連動して戻る数字なのです。
タイミングのよいところで決済すれば、大きく収益を増やすことができるのです。

 

逆に言えば、とんでもなく経済政策が下手な内閣が政権を執れば、株価が下がり、あっという間にたいせつな基金を減らしてしまうかもしれませんあせる

ちなみに、停滞していた時期から大きく収益額を伸ばしている2012年度以降の山は、アベノミクスの効果です。

 

もう一度、運用実績を見てみましょう。

2012年度から、収益額が桁違いに増えています。

 

 

私自身はとくに安倍政権を支持しているわけではありませんが、少なくともアベノミクス効果で年金制度が保たれたことは事実です。


個人的には増税や軽減税率ではなく、むしろもっと思いきった経済政策を行なってほしかったのですが・・・ヾ(;´▽`A``

 

いずれにしても、マクロ経済スライド制度GPIFの運用益があれば、年金は破綻することはありません。
さらに、いくつになっても楽しく働ける場所があれば、老後の生活そのものの考え方を変えて行くこともできるでしょう。

 

「36年後に積立金は枯渇する」「年金制度は破綻する」などという、とんでもないデマを撒き散らすのは不安を煽るだけで良いことはありません。

 

「年金詐欺!」と騒ぐ前に

年金を破綻させないために政府もけっこう頑張っているのだということを認識し、さらに、自分たちにがどんな老後を送りたいかを考えるよい機会にしていただきたいなぁと思っています。

 

 

今夜は、ファイナンシャルプランナーの石井めぐみでした(*^^*)