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十月桜~裸足の花嫁~ 著者 : 東めぐみ 発売日 : |
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~十月桜が咲く頃、笑顔で家を出ていった夫は二度と妻の許へ戻ってこなかった~
韓流時代小説「裸足の花嫁」第三弾!!
今夜も咲き誇る夜桜が漆黒の夜空に浮かび上がる。
桜の背後にひろがる夜のように、一人の男の心に潜む深い闇。果たして、消えた男に何が起こったのか?
「化粧師パク・ジアン」が事件の真相に迫る!
****王妃の放った刺客から妻を守るため、チュソンは央明翁主を連れ、ひそかに都を逃れた。追っ手に負われる苦難の旅を続け、二人が辿り着いたのは別名「藤花村」と呼ばれる南方の鄙びた村であった。
そこで二人はチョ・チュソン、パク・ジアンと名前を変えて新たな日々を営み始めるがー。
*******(本文より抜粋)
「このままでは、カナムがあまりに可哀想すぎます。真実が判ったとして、旦那さまが言われるように彼女に話すかどうかまでは判りません。でも、少なくとも何がどうなっているのかを突き止めたいと思います」
チュソンが天を仰いだ。
「勘弁してくれ。都から遠く離れたこんな田舎に来て、まさか捕盗庁の従事官紛いのことをする羽目になるとは思わなかったよ」
ジアンは涼しい顔で言う。
「別に旦那さまに力を貸して戴きたいとは申し上げていません。私一人でも真相を突き止めてみせます」
と、チュソンが剣呑な様子で言った。
「駄目だ。一人で行動することは、私が許さない」
ジアンはムッとした。
「何故ですか? 私はもう大人ですし、自分が決めたなら、思うように行動します」
チュソンが強い声で言った。
「いや、駄目だと言ったら駄目だ。そなたは私の妻だぞ」
ジアンの大きな瞳に挑戦的な光が閃いた。
「そうですね。おっしゃる通り、旦那さまは私の良人であり、私はあなたの妻です。ですが、妻は良人の所有物ではありません! 良人が命じたからといって服従しなければならない義務はありません。ゆえに、私は自分の思うように行動します」
ジアンはチュソンを睨みつけた。
「どうやら私はあなたを買い被っていたようです。チュソンさまは世の男どもとは違う、妻だから、あれをしてはならぬ。これもならぬと制限する大勢の良人たちとは雲泥の差だと信じていたのですけど、現実は違うようですね」
チュソンが声を荒げた。
「愚か者ッ、何故、判らぬ? 私はそなたの行動を制限するつもりはない。ただ、心配なのだ」
こうなると、もう売り言葉に買い言葉だ。ジアンはつんとそっぽを向いた。
「ええええ、どうせ私は愚かです。旦那さまのように科挙に初挑戦で首席合格した天才から見れば、愚かでしょう」
チュソンの顔が紅く染まった。これは相当怒っている。普段、ジアンに甘いチュソンがここまで怒るのは初めてだ。
「何故、ここで科挙の話が出る! 関係ないであろうが」
これ以上怒らせてはいけないと思いながら、ジアンも止まらなかった。
「このままでは、カナムがあんまりです。可哀想で見ていられません。悩みを打ち明けられる人が誰もいなくて、ずっと一人で耐えていたんですよ。解決できない悩みなら仕方ないけど、解決できる悩みであれば解決してあげたいと思うのが間違っていますか?」
最後は涙混じりになった。