記念すべき入賞作品が掲載された作品集&とても面白くて学ぶところの多かった小説の感想 | FLOWERS~ めぐみの夢恋語り~・ブログで小説やってます☆

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Every day is  a new day.
一瞬一瞬、1日1日を大切に精一杯生きることを心がけています。
小説がメイン(のつもり)ですが、そのほかにもお好みの記事があれば嬉しいです。どうぞごゆっくりご覧下さいませ。

著者 :
吉備人出版
発売日 : 2019-04-02
記念すべき入賞作が掲載されている作品集。
これからも初心を忘れず、更に精進して更に高みを目指して頑張りたい。
面白かったです。

オビに書かれているとおり、本当に丁寧に描かれていて、主人公の魅力的なキャラと共に、とても好感の持てる作品でした。

わずか十歳の時に、偉大な国王リケルメと運命的な出逢いを果たし、国王に見初められた美少年リード。
賢く優しく正義感が強く、しかも、どこか少し抜けているところが保護欲をかきたてる-とても惹かれるキャラです。
リケルメでなくとも誰もが魅せられて当然かもしれません。
そんなリードが13歳で入宮、15歳で側室としてリケルメと結ばれ、正妃やたくさんの側室を差し置いて随一の寵姫となります。
しかし、「愛する男の唯一無二の存在」になれない運命に耐えられず、後宮をひそかに脱出してしまい、隣国に逃亡。
更にその逃亡先のオルテンシアで、第二の運命的な出逢いが待ち受けていることも知らずに-。

リケルメの甥に当たるオルテンシアの王太子ラウルとの2度目の恋。
リケルメとの宿命的な再会。
考えてみれば、幼くして国王の側室となることが運命づけられ、リケルメのために後宮という狭い鳥籠で生きることを義務づけられたリードには、自由というものがありませんでした。
そんな彼が鳥籠を飛び出して自由を求めたとしても、それは仕方のないことであったかもしれません。
上手く言えないのがもどかしいですが、リードが心身共に大人になってゆくプロセスが丹念に綴られていて、とても良かったし、共感できました。
また、リードを特別な存在としながらも、結局は大勢の側室の一人として遇したリケルメと、たった一人の伴侶としてリードだけを生涯愛すると誓ったラウル、二人の男の対照的な愛し方にも考えさせられるところがありました。
また、リケルメがリードに少しも政治的な話をしなかったのに対し(それにはリケルメなりのリードに対する緒もやりもあったわけではありますが)、ラウルはリードを側近として取り立てたというところも、二人の男性の愛し方の違いを感じます。
リケルメはリードに対し癒やしを求め、守るべき存在と捉えていたのに対し、ラウルはリードを対等な時に敬意を持って接するべきパートナーとして接したような気がします。
リケルメとラウルが叔父と甥であるという関係性も運命的なものをを感じますし、一時は肉体的関係を持った国王の「養子」としてリードがラウルに嫁ぐという設定に少し背徳的なものを感じたのは少し考えすぎかもしれませんが、、、

良い作品だと思いますし、分厚い本にも拘わらず、最後まで少しも飽きることなく楽しめました。