こんにちは。
今、読んでいるに登録していた小説を読了しました。
数日前に、読み出したら面白くて止まらないとご紹介した本です。
確かに前半というより、殆どラスト近くまではとにかく面白くて夢中で
読みふけりました。
ところが、、、終盤にさしかかり、速度がかなり落ちてしまいました。
何故か?
というのも、私、かなり疑問を抱いてしまう部分があったのです。
ヒロインの教師は実は公爵の落胤で、その公爵は妻の不貞により、不義の息子を
跡継ぎとしていた。
世間的にはその息子は実子と信じられている。そのため、公爵は息子に落胤の娘を
めあわせて公爵家を継がせれば、自分の血統を絶やさずに済ませられると考え、
顔も知らない二人を無理に結婚させた。
ロマンス小説にはよくあるパターンで、ここから二人がぶつかり合いながら、
ラストには互いを愛し合うようになり、ハッピーエンドで終わる。
ストーリーはありふれていますが、ナポレオン時代の歴史的背景なども丹念に
描き込まれ、また人物造形も詳細で、読みごたえのある小説でした。
やはり単なるライトノベルとは一線を画した風格があります。
そこは良いのですが、物語りの後半になり、互いに愛し合うようになった若い夫婦が
ケンカをして夫が妻をぶつシーンがあった。
私は、これは頂けない。単に生理的というか個人的な感情かもしれないけれど、
男が女を殴るシーンはいや。
女を殴る男も大嫌い
それは例えば思い詰めたひろいんが自殺を図ろうとしていて、それを止めるために
正気に戻らせるために軽くたたくとかいうのはアリだと思いますよ。
でも、口論のあまりカッとなって手が出た、しかも顔にアザが出来るほど
良い体格をした男が女を殴るっていうのは、どうでしょう。
実はこのシーンで一挙に速度が落ちました。
しかも、ヒロインがそれを仕方ないと納得して受け容れ、
あくまでも一時的なもので彼も後悔している-と、たったそれだけで許せる
というのは理解しがたい。
暴力は暴力ですよ、そんなに容易く許せるの、受け容れられるのと
私はここのヒロインの諦めの良さにももの凄く違和感を感じてしまった。
後はもう一つ、夫のルシアン、アーデン侯爵が長らく愛人関係になった舞台女優兼
娼婦のブランチ。
彼等の関係についても疑問を感じた。
ルシアンがヒロインを愛していることに気づき、晴れて妻と結ばれるに際して
愛人関係にあったブランチと別れたのはこれは適切。
また、ブランチもそういう女性でありながら、良心と分別を兼ね備えた誇りを
失わない女性として、好感度高く描かれていました。
ここも良かった。
しかし、ルシアンとブランチが別れてから、妻のベスがブランチの家に行き、
二人が対等な友人関係を築いたというのは、これはどうなんでしょう。
私が思うに、仮に元がついていたとしても夫の元愛人と妻が親友になれるなんて
ありえません。
もちろん、世の中はひろいので、皆無と断言はできないけれと゜、まず無理なんじゃない
かと思います。
夫が関係していたのが自分と知り合うよりも過去だとすれば、浮気?そのものは
許せるとしても、その元愛人と理解しあう信頼しあうっていうのは
あまりに現実離れしすぎています。
たとえ偶然顔を合わせることになって、表面は取り繕った上辺だけの笑顔で
やり過ごすのが精一杯。
それが、愛人と妻の現実の関係だと思います。
ここは暴力シーンよりももっと違和感有りすぎた。
だから、私は江戸時代とかの大奥で、将軍が何人もの側室を侍らせて
正室である御台所は一つ屋根の下にそういう夫の妾と一緒に住んでいたって
いうのはもの凄くストレスだっただろうと思います。
どこの世界に夫の愛を奪う愛人を好きになれる妻がいますか?
それが女というか人間のホンネです。
昔と今の女性の考え方が違うといえども、同じ人間です。
慎み深く容認はしていても、心は憎しみで燃え上がっていたと思います。
話が脱線ついでですが、かの豊臣家が滅びたのも実は秀吉の正室北政所ねね
の陰謀だったという説もあります。
ねねには実子がおらず、秀頼は北政所と敵対関係にあった淀殿の息子だった。
だから、ねねは最後に大阪城を出て、豊臣家を見限ったのだという説もあるくらいです。
つまり、ねねにとって愛人とその息子の手に渡った豊臣家なんて、
もうどうでも良かったのだということです。
そんな感じなので、私はこの二つの矛盾点が何故か気になってしまいました。
それを感じた時点で、小説の魅力も半減してしまった。
なので、ここで☆は四つにしようかと思ったのですが、
最後はやはりハッピーエンドで気持ちよく終われたので、当初どおり☆五つに
しました。
小説というのは些細な矛盾でも、読者がそれを感じた時点で
小さな綻びが大きな亀裂をうむといわれています。
もちろん、修業中の私にはそういうことはきっと少なからずあるだろうけど、
それて゛も極力しないように気をつけているつもりです。
もちろん、それを感じたのは私だけかもしれません。
しかし前半がグイグイと引き込まれてもの凄く魅力的だっただけに、
後半のこの部分が個人的には大変残念なように思われました。