皆様、おはようございます。
昨日の午前中は写仏をしておりました。
今月は馬郎婦さまです。これで、めろうと読ませます。
観音様というのは、本来、我々衆生を救済してくださる慈悲深い仏様です。
判りやすくいえば、誰にでも救いの手をさしのべてくださいます。
〝観音経〟というよく使われるお経には、観音様は33回お姿を変えて、この世に
現れて衆生を救うと書いてあります。
これも判りやすくいえば、変身するのです。
このように変身された観音様を変化観音といいます。
馬郎婦はその変化観音の一つです。
大変興味深い逸話があります。
昔、中国でまだ仏教が広まり始めたばかりの頃、若者たちは一向にその教えを
受け容れようとせず、教典を憶えようとしなかった。
ところが、ある日、ひとりの美しい若い女性が現れ、若い男たちはこぞって
彼女に求婚した。
彼女は、仏典をすべて誰よりも早く憶えた殿方と結婚しますと、宣言し
男たちは競い合うように仏教の教えを会得することに務めたそうです。
その中で馬氏という男がいちはやく憶え、名乗りを上げました。
美しい娘は馬という男と結婚ることになったのですが、婚礼の夜、
突然亡くなりました。
嘆き悲しむ花婿に僧侶が
実はこの娘は人間に仏の教えを授けるために、観音菩薩が若い女人に姿を変えて
現れたのだと教えます。
果たして、男が妻の墓を掘り返してみると、亡骸は黄金の骨に変わっていたといいます。
この美女が馬郎婦です。
私は今回、このお話を知った時、ありがたい仏様に対して失礼ですが、
何とも人間くさい面白い話だなと感じたものです。
誰でも美しい女性を得たいと男なら望むでしょう。
そういう心理を見事について仏の教えを広めた仏様に何とも親近感を
憶えてしまいました。
とにかく、馬郎観音様というのは、そういう仏様です。
仏様、どうぞ私の心の闇を払い、ひとすじの光を与えてください。
その光の先に希望がありますように、
人として生きるべき正しい道をお示しくださいませ。
今回はそんなことを願いながら、まず白描から始めさせていただきました。