早朝、起きてすぐに
玄関から外に出て
一杯の水を飲む。
冷たい水が喉を通り抜けていくたびに
体の奥から目が覚めていく。
空はまだやわらかな橙色
山の向こうには日の出が控えている。
夜のうちに冷たくなっていた空気を感じる。
そんな静かな時間が
私は好きです。
仕事に出る前
ベッドメイキングをしながら
夜の自分に
「おかえり」と言える準備をしておく。
シーツを整えながら
今日の夜も気持ちよく眠れるように。
そんな事を続けているうちに
ふと気づきました。
ああ私、もう十分に幸せなんだなって。
昔はよく思っていました。
「幸せになりたい」
「もう少し状況がよくなれば」
「もっとお金があれば」
「もっと時間があれば」
けれどそう願うたびに
心のどこかが
「今は幸せじゃない」と囁いていた気がします。
そしてそんな自分の現実は、
今を生きていなかった。
朝の空気を静かに楽しむことも、
ベッドメイキングで
夜気持ちよく過ごそうという心持ちもなかった。
部屋はぐちゃぐちゃ、
心の余裕も
時間の余裕もない、
常にせっかちで、
他人の価値観で物事を判断し、
その上、他責思考の人間でした。
仏教では「求める心」そのものが
苦しみの原因だと説かれます。
幸せを追えば追うほど
幸せは遠くの未来に逃げてしまう。
本当の幸せは
「なる」ものではなく
「気づく」もの。
朝の光のやわらかさ。
ただ寝る場所があるという有難さ。
今日も1日、穏やかに過ごせたこと。
それらを感じ取れる心があるとき、
人は「幸せになった」のではなく、
「幸せの中にいる」と気づくのです。
「幸せになりたい」と願うことをやめてもいい。
それは怠けでも諦めでもなく
“すでに幸せだった”と知る勇気です。
特別ではない日常の中に
静かな光のように幸せが宿っています。
朝飲む1杯の水も
ベッドメイキングも
それが私の「もう幸せ」の証です。