【妄想小説】ルビー(16) | 彼方からの手紙

彼方からの手紙

ラブレターフロム彼方 日々のお手紙です

(side翔)

 

 

「好き……翔くん…」

 

 

腕の中でそう呟いた彼女を

力いっぱい抱きしめる。

 

つながってる体以上に

心が重なりあってるようで

さらにぐっと持ち上がる熱。

 

口に出して伝えてくれた

”好き”という言葉を

 

オレが言うのと

彼女が言うのとでは

まるで重さが違うその言葉を、

彼女ごと抱きしめて、

 

身体全部で甘く深く、追い込む。

 

「…っはっ、はっ」

 

白い肩の上に落ちる、

オレの大粒の汗。

 

ただ必死に、抱きしめる。

 

揺れる彼女の体を

掬うように抱えながら、

 

揺れる彼女の瞳を

救えるようにと願いながら、

 

現実をかき消すように。

 

強く強く抱きしめる。

彼女のすべてを。

 

愛おしく、

ただひたすらに強く。

 

 

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

 

 

(sideさくら)

 

 

気持ちを、体を

確かめあってしまったら、

 

互いの想いを

さらけ出してしまったら、

 

わたしたちにはもう

親密さしか残らない。

 

「ん…」

 

翔くんの乱れた前髪、

見つめるきれいなまなざし。

 

さっきまでの熱が

まだ残ってるシーツの中で、

何度も何度もくちびるが重なる。

 

翔くんの手が

頭の後ろにぐっと回って

首すじを支えられたまま

深いキスを繰り返す。

 

想いがあふれて

溺れてしまいそうな…

甘くて切ないキス。

 

 

「…ごめんね」

 

「なんで謝んの。笑」

 

 

優しく笑う翔くんの

ふっくら赤いくちびるから

また柔らかく落とされるキス。

 

ごめんね。

ごめんね。

 

どこに辿り着くかも

わからないのに

 

この先の未来が

なにも想像つかないのに、

 

溢れる想いのままに

その腕に飛び込んでしまって

ごめんなさい。

”オレが無理矢理、

ここに連れてきたんです”

 

そんな言葉を

言わせてしまって―

 

「謝ることなんてなにもないよ」

 

ちゅっ

 

おでこに優しいキス。

あたたかいくちびる。

 

 

「オレは今…すっげー嬉しいし」

 

「……、」

 

「この気持ちだけで」

 

「翔くん、」

 

「今…こうしてるだけで」

 

「あっ…」

 

 

またぎゅっと

強く抱きしめられて、

 

また心臓が、せつなく高鳴る。

 

 

互いの想いを

さらけ出してしまったら、

 

わたしたちにはもう

親密さしか残らない。

 

 

翔くんの大きな手が

ぎゅっとわたしの手をにぎる。

 

 

甘くきゅっと、繋ぎあう。

想いを互いに、繋ぎあう。

 

 

ふたりだけの時の隙間で。

 

未来はなにも…

見えないままで。

 

 

(初出:2019.10.3)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

m(__)m

 

読んでいただき

ありがとうございます。

 

【小ネタメモ】

 

当初20話完結予定で書いていて、

ここからラストまで少し駆け足で

展開してく予定だったのだけど。


翔担Yちゃんが

「20話超えても全然大丈夫よ!」と

言ってくれたのもあって(^^)

想いが重なった日の

続きの時間を描いてみた第16話です。

 

昨日と今日の2話で

嵐さんの楽曲3曲入ってます。

今話のメインイメージは「unknown」でした。

 

今週もお付き合い

本当にどうもありがとう(^^)

次回もまた、よろしくお願いします。