
2014年までは下乗橋から内濠を眺める天守台に位置していた弘前城天守閣は三階建てなので御三階櫓(おすみやぐら)と呼ばれました。この位置だと天守閣の窓の上にある模様の様子が分からなくて緑青色をした装飾だけが見えました。現在の天守閣は石垣工事のために曳家されて本丸の中央に位置しています。ライトアップされた天守閣を屋根の下にある装飾に目を向けると、これまで見えなかった模様が見えました。
日本古来から用いられた青海波と言う紋様です。これは海面に見える波頭を幾何学的に捉えた紋様を青海波と言います。舞楽で青海波の裝束に用いられたことから名前が付きました。
江戸時代中期に塗師の青海勘七が特殊な刷毛を用いて巧みに描いたことによって、広く流布しました。波を意匠化した文様になります。
弘前城天守閣は江戸時代後期に幕府の建築許可が下りたので、江戸時代の文化が色濃く根付いています。天守閣の四隅に配置されたイカの形をした石も地震に耐え得る建築です。

