ねぷた処たつ屋・絵師 大西 達也




2023年8月2日に弘前市下土手町の旧今泉書店前で撮影したねぷた処たつ屋のねぷたです。4年ぶりに制限のない形式で開催されている弘前ねぷたまつり。今年は「ねぷた処(どころ)たつ屋」が初めての参加を果たした。唯一の初参加となった団体で、ねぷたの熱気を再び味わいたいと集まった仲間たちで構成。2日の合同運行に登場し、堂々と初陣を飾った。
ねぷた処たつ屋は、2017年の合同運行参加を最後に約40年の歴史を閉じた城南ねぷた愛好会のメンバーを中心に結成。代表の大西達也さん(52)は都内に勤務しながら、祭り期間には帰省して同団体に参加することを7~8年続けていた。団体が解散してから、ねぷたはもっぱら見るのみ。「仲間たちと模索しながら、そろそろねぷたをやりたいと思っていた」と振り返る。
思い立ったのは今春。仲間たちとの花見の席で運行団体を結成する話が持ち上がり、「とにかく1回は出したいという気持ちが強く、間に合うかはぎりぎりのタイミングだったが思い切った」と約20人のメンバーで走り始めた。
大西さんが転勤となった2023年6月に本格始動。小屋建ては業者に依頼せず自分たちで行い、本体の骨組みは他団体から借りるなど、他のねぷた関係者から助言や協力を受けつつ、メンバーそれぞれのノウハウを持ち寄り、手作りのねぷたを一丸となって組み上げた。絵師は大西さんが兼任。8月2日の運行直前に額の紙張りを終え、「まさに当日になってようやく完成した」と苦笑しながらも、達成感をにじませた。
有志と家族ら約30人が集まった運行。小屋から待機場所までの移動で、太鼓を載せた台車のタイヤがゆがむアクシデントがあったものの、事故なく初陣を飾った。小粒ながら勇壮で、どこか親しみやすさを感じさせるねぷたは沿道の観衆から多くの声援を浴びた。
大西さんは「見るだけとは違って楽しい。小さなねぷただが、やってよかったとすごく感じている。子どもたちも一生懸命によく引っ張ってくれた」と充実の初運行をかみしめていた。
陸奥新報より記事を引用しました



