



人生の半分以上を鳥と過ごし、最近は命をテーマに講義する教育者の顔も持つ。「大事なことはすべてタカに教えてもらった。教わったことを、一人でも多くの人に伝えたい」と語る。
カラスに田畑を荒らされて困っている地元佐賀の農家さん、ノリの養殖棚を水鳥についばまれた有明海の漁師さん、糞害などに悩む企業や自治体など、さまざまな人から依頼を受けます。場所も被害の種類や原因もさまざまです。「全部これでいける」という方法はありません。
例えば田畑なら、鳥が集まるのは収穫前です。そのタイミングで、たくさんのタカを使って、一気に追い払う。米や麦の倉庫なら一年中、野鳥が寄ってくるわけです。タカを使うだけでなく、鳥が嫌がる忌避剤も併用します。
鳥を追い払うときに重要なのは、別のすみかを見つけさせることです。「ここは危ないから、別の所に移らないといけない」。そう思わせることがコツですね。時間帯や目的によって、タカだけでなく鳥を使い分けます。飛ぶスピードが速いのはオオタカ、急降下できるのはハヤブサ、夜目が利くのはミミズク…。個性に応じて、飛ばすんです。
依頼者の悩みは深刻です。さまざまな対策をしてもどうにもならず、打つ手がないという状態で、私を選んでもらうことも多い。そう評価されていることは、本当にありがたい。
私は基本的に、駆除ではなく排除を目的にしています。人間に害を与える鳥を殺すのは最小限にし、その場所から追い出して、近づかないようにする。理想は人と野鳥が共生できることです。
産経新聞より記事を引用