


JRの在来線のなかでトップクラスに険しい路線が、いまから120年ほど前に開業した山形線(奥羽本線)の福島駅~米沢駅間だ。福島県と山形県の県境近くにある板谷峠を越えて走る。福島発、米沢行きの普通列車は5番・6番線ホームから出発。5番線は在来線ホーム西の端、6番線は5番線ホームの先にある。さらに普通列車の本数が少ない。2駅先の庭坂駅行きを除けば、米沢駅まで行く列車は日に6本しかない。
山形線の普通列車は、米沢駅~山形駅間、山形駅~新庄駅間も走っているが、こちらは1時間に1本という運転間隔。福島駅~米沢駅間の列車本数の少なさが際立つ。沿線人口が少ない山岳路線ゆえの宿命といっていいかもしれない。
線路を共有して運行される山形新幹線 つばさ は、30分~1時間間隔で板谷駅を通過していく。新幹線を見れば山形線は幹線路線そのもの。
上は福島駅~米沢駅の路線マップと、各駅の標高を表した図だ。福島駅~米沢駅間は40.1km(営業キロ数)。7つある途中駅のなかで峠駅の標高が1番高く海抜624mある。峠駅をピークにした勾配は最大で38パーミル(1000m走る間に38m高低差があること)で、前後に33パーミルの勾配が連続している。山形線のように、急勾配が続く路線は珍しい。
いまでこそ強力なモーターを持った電車で山越えをするので、難なく走りきる。しかし1990(平成2)年まで同区間では、赤岩駅、板谷駅、峠駅、大沢駅の計4駅でスイッチバック運転が行われ、普通列車は徐々に上り、また徐々に下るという“手間のかかる”運転を行っていた。

excite ニュースより地形図と記事を抜粋