

「高校生活っていうのは、何て言うか、僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違う。青春ってすごく密なので。でもそういうことは全部ダメだダメだと言われて。活動しててもどこかでストップがかかって。どこかでいつも止まってしまうような苦しい中で、でも本当に諦めないでやってくれた」
コロナ禍で思い描いた高校生活を送れなかった3年生に向け、涙を流しながら語った。練習や対外試合の禁止など、制約を受ける部員の日々を思いやった。
仙台育英のコーチ、杜秀介さん(24)は「選手一人ひとりに愛を持って接する。監督というよりお父さん」と人柄を表現する。けがや病気をした選手には励ましの電話を欠かさないという。
「本当にすべての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ、全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います」
「高校野球って全ての人間にとって成長を促す機会じゃないといけないと強く思っている。その中でコロナが多くのものを奪ってしまった。高校3年間は大人が思っているよりも尊いもので二度と戻ってこない」
宮城大会準決勝で対戦予定だった仙台南が複数のコロナ感染で出場辞退すると「どうやったら彼らの気持ちを持っていけるか」と仙台南のユニホームにあしらわれていたオレンジ色の腕時計を着けて聖地で戦った。「東北の代表だという意識が強い。地元の子も東北は一つだと思って常々やっている」。東北愛にあふれる39歳だ。
