
監督に須川栄三、脚本には早坂暁と佐々木守と、いずれも初登板のメインスタッフを迎え、第二次大戦後の二十余年間にわたる世相を背景に、裏切られては裏切り返すことを繰り返しつつタフに生き抜いてゆく男の姿を、ブラック・ユーモアたっぷりに描く異色作となった。
昭和20年8月15日、玉音放送を天皇の激励と勘違いした特攻隊隊長の大和武(ハナ肇)は、日の本太郎(植木等)に出撃を命じる。しかし幸か不幸か特攻は失敗し、太郎はマッカーサーと共に日本に帰還する。
ヤミ屋に転身した大和とその部下に再会した太郎は、彼らに協力すると見せかけて隠匿物資を一人で持ち逃げ、大儲けする。しかし新円への切り替えで、せっかくの札束は紙屑同然、儲けはパー。しかし諦めない太郎はその後、朝鮮戦争勃発によるパチンコ玉の値上がりに目を付ける。
今度はヤクザの親分になっていた大和をそそのかして武蔵野組と戦わせ、パチンコ玉を独り占めしようとしたが、目論見がバレて捕まってしまう。しかも戦争終結によりまたも苦労は水の泡になってしまう。
次々に裏切り、裏切られを繰り返してきた太郎。今度は「タワシから飛行機まで 日本にあるもの何でも売ります」のオール・セールス社を設立して成功。某政党から依頼を受け、大和を議員として国会へと送り出すが……。
