『大冒険』は、クレージーキャッツ結成10周年を記念して東宝と渡辺プロダクションが1965年に製作・公開した映画。世界で初めてワイヤーアクションを使用した映画と言われており、主演の植木等はアクションシーンをスタントなしで演じている。特技監督を円谷英二が担当してミニチュア特撮が用いられているのも特徴。
本作の紙資料や予告編では「クレージーキャッツ結成十周年記念映画」と書かれていたが、オープニング・タイトルバックではなぜか「クレージイ・キャッツ」となっていた。
オープニング・タイトルバックのシーンは、1965年当時の東京を空撮したもので東京タワー、東京港、銀座四丁目交差点、東京駅、国立代々木競技場第一体育館、東京国際空港が登場する。この「空撮」は当時の東宝古澤映画の恒例で、同年公開の『日本一のゴマすり男』や、前年公開の『続・若い季節』でも行っていた。植木等が走行中のバイクから転倒するシーンで、小松政夫がスタントマンとして出演している。
神戸と設定されるロケシーンは横浜で撮影されている。山下公園やマリンタワーなど知名度が高く、一目で横浜と分かるロケポイントで撮影されている。神戸の舞台でメリケンホテルというホテルが出てくるが、これは赤坂プリンスホテルの旧館である。作中にも別館玄関の文字が映っている。ラストシーンのガーデンウエディング会場も同ホテル中庭であり、かつて古澤が手掛けた『若い季節』のラストにも登場した。