
地球の自転に基づく世界時は、太陽が朝に出て夕方に沈むといった、日常生活に関係する時間観念からすれば便利である。しかし、月による潮汐摩擦や地球内部の核、海水や氷河の分布変化など、さまざまな原因により地球の自転運動は一定の速さではない。ゆえに UT1 は1秒の長さが一定せず、時の標準を学術的に正確に定めるのに向いていない。この点では1秒の長さが一定である国際原子時は便利である。しかし国際原子時は地球の自転に従わないため、やがて両者のずれは拡大し、理論上は時間観念とも食い違うことになる。やはりこれだけでは時の標準を定めるにも不向きである。
国際原子時の利点を保ちつつ、世界時の利点を失わないようにする方法が閏秒による調整である。協定世界時は、1秒の長さや秒を刻む歩調は国際原子時に合わせつつ、UT1 との時刻の差を閏秒による調整で縮めている。
世界標準時から9時間早い日本では、午前8時59分60秒としてうるう秒が挿入される。近年の閏秒実施予定はない。
…と書いたが、1月上旬に発表された情報によると、2012.7.1 9h00m00sの直前に、8h59m60sの挿入になる。
「ひかり電話」の時報サービスでは前述と異なり、挿入される「午前8時59分60秒」とその1秒後の「午前9時00分00秒」に2回続けて「ポーン」音を鳴らして調節している。
閏秒と閏日(閏年)は無関係である。閏秒が地球の自転の不整と原子時計の間の調整である。長い目で見ると、閏秒などの時間調整がなければ、一日は24時間なのに地球が一周自転するのは25時間などのズレが生ずる。対して閏日(閏年に挿入される臨時の2月29日)は地球の公転周期と地球の自転周期が簡単な比になっていないことを調整するためのものである。閏日(閏年)がない場合には、例えばカレンダーは12月なのに「北半球は真夏」というズレが起こりうる