黒留袖…棲下から裾全体に模様があり、胸・背中・袖に五つの染め抜き紋があります。昭和初期までは胸や袂にも模様がありましたが、近年では裾だけの模様が主流となりました。
色留袖…黒字以外の地色で棲下から裾一面に模様があり、五ツ紋・三ツ紋・一ツ紋の抜き紋か、飾り紋や縫い紋までお勧めできます。
着られる範囲も広く、肩や袖に模様を注文される方もおります。華やかでより豪華なきものとなります。

▼黒留袖は、ミセスの第一礼装として格調高いきものです。明治維新の頃から紋付と呼ばれ、男女共通のきものとされ、色目も黒が最上とされています。
TPO・・・親族の結婚式・披露宴・宮参りなど
柄付け・・・模様は上半身に付けず、衿下から前裾~後裾にかけて絵羽模様に付けられています。裾回しは表地が引き返しになっており、表と関連のある模様が付けられています。留袖には必ず染め抜き、日向五つ紋を付けます。
生地・・・黒地の一越縮緬や無地意匠縮緬など、地紋の無いものを用います。
コーディネート・・・帯は正式には丸帯ですが、一般的には袋帯が丸帯に代わって使われています。袋帯は白地か金・銀地の糸錦織が適しています。
柄は伝統的な有職文様やおめでたい吉祥文様など格の高いものにして、帯結びも格調の高い二重太鼓にします。
帯締めは正式には羽二重や綸子の白の丸ぐけですが、白か金または銀の組紐でも構いません。金銀の組み分けの帯締めの場合は、金色が左にくるように締めます。
帯揚げは紋綸子や羽二重の白が正式なものですが、白の総絞りも使えます。
長襦袢は白の紋綸子地を使い、地紋を吉祥文様以外にすれば慶弔両方に使えて便利になります。半衿は、白の塩瀬羽二重が最適です。
加工・・・金銀箔に刺繍が入った豪華な京友禅や上品で落ち着いた加賀友禅など格調の高いものが好まれます。
備考・・・留袖の下重ねは、戦前まで本重ねで上のきものと同じく仕立て二枚重ねて着ましたが、最近は袖口・振り・衿・裾の部分だけが下重ねを着ているように見せる比翼仕立てが一般的です。