
翌朝早くも別れがやってきました。女性全員とお金持ちの男性はビクトリアの滝を見るため、バスで十時間かけて移動します。残った我々7人は色気のない殿方ばかり。華のあるバスを見送り、殿方達も空港行きのバスに乗り込みます。
ルサカ発の飛行機は夕方なので、途中ザンビア初代大統領の官邸に行きます。官邸と言っても日本のような立派な建物ではなく、一軒の民家でした。官邸の近くには子供達がたくさんいました。

ところがツアー客の一人がペンをあげようとしたら、子供達の取り合いになりました。この凄まじいエネルギーを何かに使えないものか…彼らには順番と言う概念が無いようです。混乱と騒動の中バスは空港へ向かって走り始めました。

話は前後しますが、皆既日食当日は部屋から観測場所が近いので用を足しによく往復します。部分日食直前に部屋まで戻ると、ホテルの従業員から日食グラスをくれと言われます。それらは観測場所に置いてあるし早く用を足したいので断ります。なぜ彼らはねだるのでしょう!?
それは今日だけ見られる天文現象よりもこれから食べなきゃならないパンの方が必要だからです。私達は無料で貰えますが彼らは買わなければ手に入りません。

日本人にねだるほど日々の糧を重視するのは、まるで敗戦直後の日本そのものでした。この国は左側通行なのでやたらと日本車が目に付きホテルの送迎車も日本語で非常口がそのまま書いていました。
写真・記事・映像の無断使用禁止