アール・クルー(Earl Klugh, 1954年9月16日 - )はアメリカミシガン州デトロイト出身のジャズ・フュージョン界のギタリスト。
彼はチェット・アトキンスから最も強い影響を受けたと様々なメディアで述べている。彼の独特に見える演奏法はチェットの奏法に非常に似ており、サムピックは決して使用しないものの、チェット・アトキンス奏法そのものであると言っても過言ではない。もちろん、音の出し方はかなり異なっており、クルーが発する音はかなり独特である。クルーはチェットの奏法を研究することで、その奏法を身に付けそして独自のスタイルを築いたのである。
また、彼は10歳でギターに転向するまではピアノを習っていた。現在でもレコーディングの際にキーボードを兼任することがある。彼は尊敬するアーティストの一人としてビル・エヴァンスを挙げており、目指す音楽はビル・エヴァンスが奏でるピアノ曲のようなものであるという趣旨の発言をしている。彼はコード・ヴォイシングによる美しいハーモナイズの名手として知られているが、上述のチェット・アトキンス奏法によるメロディラインとベースラインの両立に加えてその巧みなコードワークにより、ギター1本でピアノ並みの多彩なメロディーを実現しようとしているのである。彼の多数のソロ・アルバムはその試みの集大成である。
彼は偉大なジョージ・ベンソンを師に持ち、ビバップ的インプロヴィゼーションの資質を持ち合わせてはいるが、あまりに速いパッセージは得意ではないようである。ただし、彼が奏でるインプロヴィゼーションは実に洗練された美しいものであり、曲の雰囲気と対立することはまずない。その辺りにクルーの音楽に対する考え方が見出せるのではないだろうか。