
ピッコロ(英:piccolo)はフルートの派生楽器であり、フルートと同じ指使いでちょうど1オクターブ高い音が出る移高楽器である。
構造はフルートとほぼ同じであるが、通常は足部管を欠いているので、最低の2音は出せず、最低音は中央ハから長9度上のニ音である。収納・運搬の際は歌口のある頭部管とキーのある胴部管とに分割することができ、頭部管を胴部管に差し込む長さを調整してピッチを調整する。なお、フルートの管体は洋銀、銀、金などの金属製が大半なのに対し、ピッコロでは金属製の音色が鋭すぎるという理由から、頭部管を金属製として胴部管は黒檀などの木材や合成樹脂を使用したり、頭部管・胴部管ともに木材や合成樹脂を使用することが多い。
大きさはフルートの3分の1程度。 上述のように、基本的にはフルートの長さを半分にしたような構造となっている。ただし、足部管を持たないことの他に、現代のベーム式フルートと決定的に異なることがある。ベーム式フルートの胴部管が円柱管、すなわち太さが均一であるのに対し、ピッコロは現代の楽器にあっても、古い構造を保持し、先の方が若干細くなる円錐管となっていることである。これによって、高次倍音が得やすくなるのである。

フルートと比較した場合、発音に速い息が必要であること、楽器の大きさが小さいため細かな唇(アンブシャ)のコントロールが求められる、などの違いがあり、特に高音域の弱音を演奏することは難度が高い。また、足部管の有無の違いから一部の音でフルートと異なる運指が必要となる場合もあるが、フルートと同じ運指でも発音は可能である。
独奏および室内楽ではあまり用いられず、オーケストラや吹奏楽で用いられることが多い。元来のオーケストラの編成には含まれない楽器であるが、フルート奏者が持ち替えで演奏することが可能であり、オーケストラとしては最小の編成であってもフルート奏者のひとりが持ち替えで演奏する曲がある。
オーケストラの楽器では音域が最も高く、また鋭い音色を持つため、フォルテッシモで演奏される金管楽器群の中にあってもはっきりと聞き取ることができる。そのため、楽曲のフィナーレなどの盛り上がりを際立たせるために用いられる(例えば、ベートーベン:交響曲第9番第4楽章)。