
サクソフォーン(saxophone)は、金属製の木管楽器の一種である。縮めて「サックス」(sax)と呼ばれることも多い。
1840年代にベルギーの管楽器製作者アドルフ・サックス(Antoine-Joseph 'Adolphe' Sax)によって考案された。1846年に特許を取得している。saxophoneの名は彼にちなむ。一般には真鍮で作られるが、銀や銅が使われることもある。ラッカーで塗装されているものが一般的ではあるが、銀・金・などでメッキされたものも多い。また、鏡面仕上げが一般的だが、艶消し仕上げのものも存在する。その他にも、ブラック・ラッカー仕上げ、アンラッカー仕上げ、ニッケルメッキ、プラチナメッキ等、さまざまなバリエーションが存在する。
吹奏楽団における木管楽器と金管楽器の橋渡しを目的に開発された。木管楽器の運動性能の高さ、金管楽器のダイナミックレンジの広さを兼ね備えている。クラシック音楽からポップス、ロック、ジャズに至るまで、様々な分野の音楽で用いられる。吹奏楽やビッグバンドには欠かせない存在である。オーケストラにも曲によっては参加することがある。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4本のサクソフォーンで演奏されるサクソフォーン四重奏は、音色の均一性やアンサンブル能力の高さが弦楽四重奏にも匹敵すると言われ、クラシカルサクソフォーンの代表的な合奏形態のひとつである。サクソフォーン四重奏のためのオリジナル作品も多数存在する。様々な種類と大きさのものが存在する。
サクソフォーンは大小さまざまな楽器があるが、それぞれの楽器はほとんど相似な形状をしている。サクソフォーンの管は、マウスピースに近い方からベルに近い方に向かって、ほぼ一定の割合で太さが増しており、全体として円錐状になっている。このためサクソフォーンは整数倍の倍音を出すことができ、物理学的には開管楽器に分類される。
一方、構造上サクソフォーンにもっとも近い楽器であるクラリネットは、管の太さがほぼ一定の円柱状であるため偶数倍の倍音は出すことができず、物理学的にも閉管楽器に分類される。サクソフォーンとクラリネットの音色の違いは、この管の形状の違いに起因するところが大きいと思われる。