幻の謝恩会 | lala sunshine…

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浪人を経て医学生になったぽん太と私大理工生のたぬ吉と何歳になってもかわいい〜トイプーもふ子の母です。
浪人時代の振り返りを終え、子供達のことに加えて日常のことも書いていこうかな〜と思っています。よろしくお願いします。

たぬ吉の高校で

母は

卒業対策委員をやった。

その委員長もやった。


その器でもなく、

やる気も全くなかったが、



先生や学校に感謝する会の開催が

主な仕事の係に

誰が手を挙げず…

(受験生だから、気持ちはわかる)

感謝される側の先生は困っていた。

いたたまれないな、

先生、みんな、大好きなんですよ、

と思ったら

母の右手は勝手にあがっていた 笑


びっくりした〜


委員長決めはもう少し複雑だった。

高校から入学した保護者が


「副委員長ならやります!なので

委員長は中学から来た方がやってください」

とニコニコと言った。

中学からのママ友たちは、

にわかにピリついた。

卒対担当の先生もかたまった。

しばらく、時がとまった。

すると、

母の右手があがった。

え? 誰か操作してない?

慌て、

「名前だけの何もできない委員長になり、

こき使ってしまいますが」と言うと、

はーい、

こき使われまーす と返事と拍手で決まった。



ダブル受験で大丈夫?と

担任やママ友にあとから聞かれたが…

受験より、

自分が

役員をやれる人間ではないのに、

魔がさした感半端なく、

大丈夫か?やれるか、私?

と不安だった。



仕事は主に、

都内某ホテルで

1本(百じゃない)の金額もする

謝恩会だった。

この金額にビビりまくった 笑


だけど、

新しく何かを考えて成功させる力量が

(委員長に)ないため、

慣例に従ってやろう!となった。


披露宴の引き出物みたいに

記念品に高級チョコに有名店のケーキにお花のお土産も必要。

え?交通費代わりのクオカードも?

もちろん、フルコース。

まさか、毎年こんなことが行われていたとは。


招待状に、席次。

出し物に、タイムスケジュール。

司会に受付、アテンド。

出し物の練習、プログラム作成、

プロジェクターで映す画像、

生徒一人一人からの

先生方への感謝のビデオメッセージの撮影に、

編集 とやることをリストアップ。 


生徒の卒業式の胸つける花とか

記念品も用意するらしいよ


と予算が膨らむ。


たぬ吉学年、人数が少ない。

だけども、謝恩会の招待客数は変わらない。

予算が非常に厳しく、

経費削減を心がけた。


やることは山積みだが、

しばらくは、

まだ、ぎこちない者同士もいたし、

母の あえて鈍感に

「やぁ、やぁ、」のフレンドリーモードで

頑張っても

やりづらい感はあり、スロースタートだった。


母は、

特に

知り合いがいないとか

話すのが苦手とかで

小さくなってる方が

周りから名前すら覚えられていなくて

気になった。

誰もが のびのびと

自分は自分のままでいいんだと

参加して欲しかった。

知り合いは、ここで作ればいい。

話すのは上手い必要はない。


そこで昭和の飲みハラを乗り越えてきた母は、

ミィーティングの日は、

帰りに飲み会をすることにした。

参加は自由。

みんなが参加すれば賑やかで楽しい。

参加が少なければ、じっくり話せる。


予想より、みんな、が毎回参加し、

距離を縮めていき、

予算不足も

時間との勝負も

なんのその 


みんな、仕事をもち、受験生がいて、

大変だっただろうが、

笑ったり考えたり、

時々もめたりしながら

進んでいった。


冬がきて、

受験がはじまった。

特にルールは決めなかったが、

お互いに受験の話しなかった。

ただ、春に、

卒業する日を目指した。



ところが

日に日にコロナのニュースが増えた。


謝恩会はやるのか?と保護者会からの

問い合わせが増え、

キャンセルする方も出てきた。


学校に伺いをたてると 

やりましょう

だった。

委員会に、それをもちかえり、話し合い、

やりましょう 

とやはり、なった。

アルコール消毒、換気対策、席の間隔、マスクの用意、プログラムの見直し をし、

キャンセルの対応と保護者にやりますよーの手紙を出したり…

新たな仕事も増えた。


あと、5日  となり、最後のミィーティング。

ホテルに持ち込むものを荷造りし、

当日の担当の確認などして、

では、当日、◯時に ここで 集合!

と その日は、解散した。


が、

その翌日夕方、学校から電話がきた。

今から、

副委員長と一緒に学校にきてほしいと言われた。

慌て行った(あら、まさかのすっぴん え?)


そして、

今日、東京都が都立高校の休校をきめた。

私立とはいえ、

謝恩会を中止せざるを得ないと言う結論になった と言われた。



何度も何度も何度も謝罪された。


応接室で

しばらく、副委員長と二人、

呆然としていた。

すると、たぬ吉の担任が顔を出した。


お母さん、ごめんなさい と。

そして、

ん?あれ、泣いてない?

とちょっと拍子抜けして言ってきた。


泣いているんじゃないかと心配だったらしい。


だけど、涙ぐんでいたのは、先生の方だった。


ありがとう、先生

逆に慰め、談笑して、学校を後にし、

副委員長とカフェに入った。

二人で文を考えながら、

役員みんなに、

中止を知らせた。


そして、翌日、

急遽集合して、


たんたんと片付けた。

たんたんとホテルとのやりとりをし、

全保護者に中止のお知らせの連絡をし、

用意していただいたお土産は

学校に送っていただき、

卒業式後、手渡ししたり、

直接送る準備をした。



いつも通り、笑ったり、困ったりしながら。


中止への感想は誰も何も言わず。




そして、短縮、発声なしの 

卒業式。


役員はこの後、来賓や職員に

ホテルから届いたお土産を

配りに走り回らなくてはならないから、

みんなで一緒に出口の近くで座り、参列。


短縮だから式典が進むのが早かった。


そして、

校長先生からの祝辞。

いつもなら、だらける母だが 笑

6年間最後の日だから、

しっかり聞いていた。


すると、 突然、

校長先生が

壇上から


一年間、準備をしてくださった卒業対策委員会の

みなさん、と声をかけ、


労いとお礼、謝罪の言葉をくださった。


何回も何回も 学校で準備を進めてきたことを

全職員が知っています。

本当に我々も楽しみにしていた。

悔しいし、残念だ

と言いながら。


私達は、一瞬、息をのみ、

肩を震わせて 泣き出した。

これまで、

一回も誰も涙を見せなかったのに。

しかたないじゃん、といつも

強気組なママも

何があっても

ふぅんとシニカルに言うママも

泣いていた。



幻の謝恩会だったけれど、

準備をしてきたから、

思い出も

友達も

出来た。


中止の準備しながら、

誰かがふと

「私達ってなかなかやるよね」

「会社にしたら、成功するね」

と言いだし、

みんなが

そう!それ!

と盛り上がっていた。


振り返ると、

中学から入学 とか 高校から入学とかの

分断しかねない発言から始まったが

(本人はしきりに反省 笑)


本当に、

いつのまにか、

クールな性格のママも

忙しくてなかなか参加出来なくて居心地悪そうだったママも

幾つになっても可愛らしいキャピママも

まだ小さい子を抱えながらも真面目に頑張っていたママも

介護しながらのママも、

みんなが

それぞれの強みと弱みを活かして、

ちゃんとチームになっていた。


役員をやらなかったママ友達から、

何度もありがとうと言われたが

役得盛りだくさんな仕事をさせてもらえて

こちらこそ、

ありがとう だった。



昨年、

あれ以来、初めての集まりがあった。

だいぶ遅れた慰労会だった。


慰労会の補助費が予算にあったため、

やらなくてはならなかった。

そんな理由だった。


今さら…だったし、

どんなにあの時は盛り上がっても

時間が経ちすぎていたから、

どうなるかな、だった。


だけど、楽しかった。

二次会、三次会と行った 笑

笑いすぎた。食べすぎた。飲みすぎた。

とみんな口にしながらの

別れ際、


社長、来年も再来年もやろうよ! 

ずーっとやろう!

と言われた。


あー、

幸せ だった。



だけど、私は、何にもしてないから

社長じゃないのがいいなぁー

と言うと、


え?

飲み会開催、連絡係、ホテルにキャンセル料ゼロにさせた交渉力、先生へのお願いの仕方…

社長ができるのは他にいないよ

と。


え、

そこ?

それ?


良き経営者はね、

お金の計算とか文章作成とかじゃないんだよ。

そこ、それ

それにさ、

みんな、大好き 目線 

が1番!


そう、好きすぎるよねー


ま、こっちの方が 好きだけどねー


中年?のおばさん達は最後まで

下町の繁華街で

笑いころげた





成果を出せなかったけれど、

そこを目指して

過ごした時間は、ちゃんと

残る。


最後の最後で

出会った友達

役員をやらなかったら

得なかったもの。


何年続くわからないけど、

その集まりは、

私達が元気なうちは、

とりあえず、二人で 

やっていこう。

毎回、みんなに一応、日時と場所を知らせて、

来たい人が来たい時にくればいいよね。

と副社長と話しているが、


今年、

飲み会、いつにするー?

と経理部長

と広報部長からLINEがきた 笑


ので

副社長に

転送したら、


泣く


と変なスタンプと

調べていたらしいお店5つの

リストが返ってきた 笑