「菜の花の沖」は司馬遼太郎によるドキュメンタリー風の小説本です。



でも「日本幽囚記」は全くのノンフィクション、ロシアの軍人ゴロヴニン当人による手記です。岩波文庫では三巻に分かれていて、一巻と二巻はゴロヴニンが日本で囚われ解放されるに至るまでの全記録ですメモ



三巻はゴロヴニンが考察した日本観が中心で、付録としてゴロヴニンを救出した副艦長リコルドによる救出に至るまでの記録が添えられています船



一巻、二巻については先のブログでざっくり概要を書きましたが、三巻の日本考察に至っては、たった二十六か月の日本滞在《1811年から1813年》、しかも殆どが北海道の函館か松前の牢屋または屋敷牢の中にいたにもかかわらず、よくぞここまで日本や日本人について詳細な記録が書けたものと本当に驚かされます目



ゴロヴニンは当初三か月は囚人扱い、もちろん筆記具はなく服の糸を抜いて結び日付を記録したとか時計



その後事件の顛末を書いて無実(故意に日本を襲うために訪れたのではないという)であることを文書で上申するよう役人から筆と墨を渡されますが、日本式の筆と墨を使いこなせない彼は絵が得意で筆の扱いに慣れている下士官にそれを書かせています。



一方、墨汁を木のスプーンに溜めてインク壺代わりにし、ワラの茎にそれを浸してこっそりと自分用の記録(しかも誰かに見つかってもわからないように暗号で)を書き溜めたようですグッド!



満足な枚数の紙が貰えないと鼻紙にさえ書いたと記してありました(半年過ぎた頃から待遇は改善されましたが)お酒



そんな艱難辛苦の日々を送った筈の彼なのに、無事本国に戻ることができた暁にはその恨みつらみを書く訳でもなく、自分の身に起こったことやその間に見聞き体験した日本や日本人についての記録を淡々とむしろ好意をもって綴ってあります(もちろん耳の痛い話しもありますが耳



何故なら、当時のヨーロッパ中心の世界での日本や日本人観があまりにも不完全で不十分、しかも正しく評価されていない(キリシタンを追放し鎖国政策をとっていたことにより当時の日本の評判は最悪だったようです!!)、と痛感したからです。



その内容は、日本の日本の地理や気候、日本人の起源、国民性、教育及び言語、信仰や儀式、国家統治、法律や習慣、農業、工業、商業、武力、日本に関係ある他の民族、と項目別に分けて多岐に亘っていますチョキ



実際に自分が接した役人や一般民に対する感想や見聞きしたこと以外にも、通詞や学者、知識人《彼は間宮林蔵にも会った》から学んだことが加えられています。



江戸後期の役人や一般市民の当時の政治、経済、産業、日本と世界の関係などについての率直な生の声も綴られていて更に興味をそそってくれますニコニコ



to be continued.......DASH!