「存在意義」2020.3.7コラム掲載分 | MegMusic TAKE OFF

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鍵盤楽器奏者の齋藤めぐむが演奏情報や想いを綴ります

昨年の12月から4ヶ月に渡って書かせて頂いた、石巻かほくさんのコラム「つつじ野」


今回は第十四回目


「存在意義」

まさかこんな事になるなんて、2020年の幕開けには誰も想像する事はなかったでしょう。

自粛や中止、延期、この一週間ほどで何度も目に耳にしたことか。

私も音楽教室のレッスンが休講になったり、2ヶ月先の演奏依頼がキャンセルになったり、影響がないはずはありません。

こういうことは9年前の東日本大震災の時にも経験をしました。

見えないものに恐怖を覚え、何度も起こる余震、先の見えない復興に不安を感じ、何が正しいのかどうか正解が分からない時間を過ごしました。

しかしある時期から音楽を欲してる人がいる、演奏をする事で心に触れる事ができる、それがこれからは必要だと分かってから、ようやく再開する事が出来たように思います。

もし場違いに演奏をして非難を浴びても、それは自分にふりかかってくるだけで済みました。(実際そう言う事はありませんでしたが)

それが今はちょっと違います。

大勢の人が集まる事ができず、もし開催してしまって何か起きた時は…誰が責任を、誰が罹患したのかと犯人探しのようになってしまいます。

お店にも買い物に行けず、食事も行けない、娯楽も楽しめない状況は、心を疎遠にして、思わぬ事を悪い方向に考えてしまいがちです。

面白いテレビを見たり家で映画を観たり、明るい音楽を聴く、是非落ち着ける時間を少しでも作って、心を穏やかにして下さい。

と言っても一番私が穏やかにしていられないのかもしれません。

私にとってレッスンや演奏は、人と気持ちを通わす場にもなっているんだなと、それが何週間なのか、何ヶ月なのか途絶えてしまう事は、自分の存在意義と言うか、私は周りの方に本当に生かされているんだなと改めて感じています。


2020年3月7日日(土)

石巻かほく「つつじ野」掲載より