こんにちは。
庭園ソムリエ Meg(メグ)です。
キリッとした爽やかな
朝の空気に満ちたお寺の境内。
どこかお分かりになりますか?
お城? と見紛う立派な石垣
鎌倉にある、円覚寺です。
先日、庭園めぐりツアーで
参加者の皆さんと歩いてきました。
円覚寺って
ザ・鎌倉!なお寺なんですよ。
(ちょっと、歴史入ります)
円覚寺の宗派である
臨済宗(りんざいしゅう)は
鎌倉時代に入ってきた
中国(南宋)発の
新しい仏教だったのですが
坐禅や禅問答を特徴とする
内省的なこの臨済宗が
武士の気質にうまくハマって
新しい武士の時代の
精神的支柱として
鎌倉幕府がバックアップ。
幕府公認の仏教になったわけです。
今でもここで厳しい修行が。
そして
坂口 健太郎くん(北条 泰時)
の孫にあたる
5代執権・北条 時頼と
その息子の8代執権・時宗は
臨済宗(禅宗)に深く帰依し
本場の中国から臨済宗の高僧を招いて
それぞれ建長寺と円覚寺を創建。
北鎌倉の地が
禅文化の発信地になりました。
というわけで、円覚寺は
鎌倉時代(さらには室町時代に至るまで)
武士の心の拠りどころだったこと
そして、中世の面影を残している風景が
ザ・鎌倉!だと思う理由です。
前置きが長くなりましたが
こんなことをお話ししながら
円覚寺でご案内した庭園が
こちら、妙香池(みょうこうち)です。
作ったのは
鎌倉時代末期から室町時代にかけて
活躍した臨済宗の僧で
名作庭家でもあった夢窓国師
(むそうこくし または夢窓疎石)。
日本人ですよ。
彼は、庭園を
禅の精神修練の道場としたので
自然の地形と景観を活かして
禅の世界を表現した作庭が特徴。
妙香池では
対岸にむき出しになった
荒々しい岩盤が見えていますが
この上で坐禅を組んだのかも。
(岩盤は復元されたものですけどね。)
この岩盤、虎頭岩(ことうがん)
と呼ばれ、虎の頭(虎の左側の顔)に
見立てられているのですが
わかるかしら〜?左の方です。
参加者の皆さんは、んん?という
感じだったのですが(笑)
円覚寺では
妙香池の向かい側にある
方丈庭園に意識が向きがちですが
方丈庭園
実は、
円覚寺史的にも庭園史的にも
見ていただきたいのは「妙香池」。
鎌倉時代に始まった臨済宗(禅宗)を
室町時代にさらに発展させて
鎌倉五山制度(建長寺と円覚寺はそれぞれ
第一二位)を整えた宗教家であり
禅と庭園を結びつけて
のちに枯山水庭園を本格的に定着させた
名作庭家だった夢窓国師。
岩盤を削った穴の中で坐禅を組んだそう@瑞泉寺
鎌倉では、やはり彼が作った
瑞泉寺(ずいせんじ)の方が有名なので
影に隠れがちですが
ぜひ、妙香池にもご注目を。
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そして、ツアーの最後に
「現代の」禅のお庭も訪ねました。
通常非公開ですが、境内の奥に行くと
横方向からその一部を眺めることができます。
「水と花の寺」で知られる
やはり臨済宗の海蔵寺(かいぞうじ)の
住職さんが手ずから作られた庭園です。
時代は違えど
円覚寺の妙香池と同じく
自然の地形と景観を活かした
禅のお庭。
以前、住職さんに伺った時
いつ作庭されたのかは
明言されませんでしたが
「まだまだ、今も作っているところ」
なんですって。進行形の禅の庭!
ガウディみたいですね。
最後の華やぎを見せる
海蔵寺のシオンの花の横で
参加者の皆さんをパチリ!
今回のツアーでは
チラ見も含めると
5つの境内庭園を巡ったのですが
そのうちの4つが
臨済宗の禅宗寺院でした。
それぞれのお寺で
禅の心の一端を感じ取って
もらえたかな。
本記事の写真の何枚かは
ツアーの参加者 Uさんが
撮ってくださったもの。
ご提供どうも有難うございました!
そうそう、11月3日〜5日
円覚寺と建長寺で
所蔵している絵画や彫刻などの
お宝が公開される
「宝物風入」が開催されます。
詳細は、各お寺のHPで
ご確認くださいね。
▶︎ 次回は、花も団子も楽しんだ!です。
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見方がわかれば、お庭はもっと楽しい!
四季を味わい、日本の心を伝える
庭園ソムリエ
Meg(メグ)