5月31日(月)~6月5日(土)に、スイスに出張してきました。主目的は、スイス本社で開催されたダイバーシティ&インクージョン の二日間のグローバル会議の出席でした。日常業務でやり取りしている人々と打ち合わせもしてきました。
ダイバーシティ&インクージョンのテーマは非常に根が深いです。今回の会議を通じて、今まで感じていたことの再確認、改めて痛感したことが多々あり、それらを1回の記事で書くことは不可能です。ですから、まずはこの記事で会議出席の背景や会議の概要を書き、その後に、ダイバーシティ&インクージョンとは本来どういうものなのか、私はどういうことを課題として今まで感じてきて今回の会議出席で新たに感じたのか、などを連載で書いていきたいと思います。
1.今回の会議出席の背景
ダイバーシティ&インクージョン(D&I)は、2006年8月の夏休み明けに、日系企業から現職(スイス本社の会社)に転職して以来、取り組みテーマの一つでした(他はChange Management = 変革のマネジメントなど。変革のマネジメントについては、2006年11月にスイス本社での研修を受講しています)。
2006年10月に当拠点でD&I推進チームが発足してからメンバーの一員でした。ちなみに、会社の方針として2006年度から本格的に推進するようになり、それまでの日本拠点のグローバル化のためのグローバル人材(海外勤務経験者)の中途採用に加えて、女性や社会人前に海外経験を有する人(端的な例は女性で現地校出身の帰国子女の私)を2006年から中途採用をするようになりました。でも、推進メンバーチームは私以外は基本は地元出身者、中途採用者は私だけでした。
各拠点にD&I推進責任者が任命されるようになり、去年から当拠点からは人事マネージャーがその役割を果たし、毎月のグローバル電話会議の出席やKPI等の報告を行っていました。しかし活動内容がコミュニケーションと親和性が高いことと、2009年度のグローバル社員意識調査を私が担当したこと、コミュニケーション担当として同様にグローバルネットワークの一員として活動していることなどから、私がD&Iの推進責任者になった方が良いのではとずっと思っていたそうです。
このたび、(去年の新型インフルエンザの発生で一旦、延期になった)グローバル会議が開催されることになったのを機に、正式にこの役割を人事マネージャーから私にバトンタッチすることになり、そのデビューとしてこの会議に出席することになりました。
2.周囲の反応にとまどう私
人事マネージャーや拠点のトップからは何もありませんでしたが、他からは「準備、大変ですね」などと言われました。確かに当日、活動内容を発表するのでその資料を事前提出があり、また会議後の業務打ち合わせの準備がゼロだったわけではありません。発表資料が出来ていたら、私の英語力ならば英語原稿作成は全く不要です。
業務打ち合わせも今回は軽いでした。2006年11月出張時こそ準備が必要でした。あの時は、グローバルの方針では日本での業務に支障をきたすため例外を認めてもらい、かつそれ以降に梃入れするにあたって協力を要請する案件が具体的にあったためです。一方、今回は「1月時点からの追加活動状況としては、こんなことがあります」とPRする、もしくはグローバル側に「これについてどうなっていますか」を聞くのが主目的の業務打ち合わせでしたので、非常に楽でした。
出張の準備そのものよりは、(今回はPCを持っていくことができなかった、私は独立した仕事をしているので不在中に他の人に業務をお願いしにくいため)、不在時に業務への支障を最小限にすることの方が大変でした。(おまけに6月10日&11日は拠点のトップの直属の上司含む4名が来ます。自分の業務以外のその準備と当日の対応があるわけです。)
でも、そういう周囲の反応が普通なのかな、心配してくれるのは、有難いことだし、と思いました。
3.日本出発からホテル到着まで
5月31日(月)の9:50関西国際空港出発のはずが45分遅れの10:35分初となりました。フランクフルト空港での乗り継ぎ時間が2時間あっても十分か心配でしたが、フランクフルト空港も30分遅れの出発。バーゼル空港に18:30頃に到着し、預けた荷物の引き取りなどは非常にスムーズで、ホテルには思っていたよりもかなり早く到着しました。
2006年11月はたまたま、拠点のトップと同じ便で到着したので、空港からホテルまでのタクシーに便乗させていただきました。あの時は既に外は暗かったですが、会社のロゴのネオンを指さされては町の解説を沢山していただきました。
あの時は、スイス、フランス、ドイツの拠点も訪問し、特にドイツは電車に乗って行ったので、本社敷地内の地図とドイツ拠点の地図をプリントアウトされたものをトップから渡されました。そして到着後に当時、ドイツに3ヶ月間勤務していた日本人と夕食を取られた際に、私をホテルに送り届けたことなどを話されたことを、ドイツの拠点に行った際にその日本人から聞きました。
ちなみにこの日本人は修士卒の若手で5年ほど前に日系企業から転職してきましたが、日本人唯一の、2006年開始のhigh potential人材対象のグローバルリーダー育成プログラム(学校で言えば特進のようなもの)に選抜された人材であり、3ヶ月のドイツ、一旦帰国、2年間のアメリカ勤務を経て、今はシンガポール勤務中です。)
今回は、「空港から市内にはバスも出てるけど、タクシーを捕まえたら何とかなるわ。ホテルから空港は公的な交通手段を使ったら良いけど」「ホテルから会場までは、ホテルの人や道を歩いている人に聞いたら分かるはず。バーゼルの主な交通手段であるトラム(路面電車)は非常に分かりやすいし、非常に小さな町バーゼルならば、京阪沿線
結果、19時過ぎにはホテルに到着しました。この季節は日が非常に長く、22時頃まで明るいのです。チェックインしてからホテルの周囲を歩いてみると、スーパーがあったので中に入ってみました。肉・魚が少ないこと(バーゼルはフランスとドイツとの国境にあり、現地人は物によってどの国で買い物をするのか決めていますが、特に魚はスイスで買い物するものでないそうです)と、水道水を飲めないことから水や飲料水のまとめ売りが印象的でした(水道水が飲める英国とは異なること)。
前の会社でタイに出張した際は同様に、町を歩き回りスーパーやデパートを見て回りました。同じ要領で歩き回りたかったのですが、2006年11月にできなかった理由が、水曜日の経営層との昼食時にトップ(その場の出席者で最も偉い人、米国人)との会話で知りました。スイスは閉店時間が非常に早く、かつ日曜日も閉まっているのです。だから、日曜日に到着し平日は毎日残業時間まで業務をしていた2006年11月の出張時には、町を散策しお店を見て回ることができなかったわけです。ましては早い時間に外は暗くなっていたわけですから。
4.盛りだくさんの二日間のプログラム
会議出席者は20以上の国から30名強でした。
詳細は、次回以降の記事の中に盛り込みますが、プログラムの概要は下記の通りでした。
1日目:
・会議目的などの説明、ビデオ上映など(事務局責任者)
・新5カ年計画の説明(トップ)>> 新5カ年計画達成にはD&Iが不可欠
・ネットワーキングのための休憩
・チームビルディングセッション(持続的改善の責任者)>> 文字通り体を使いました
・グローバルD&I活動の概要(グローバルの中央部門の事務局責任者)
・D&I世代面での課題について(グローバルの中央部門の担当者)
・昼食
・D&Iゲーム(外部講師)>> 各種質問に対して私たち参加者が答える。3月の経営層対象のグローバル会議との結果と比較 >> 今後の戦略策定・活動に活かす
・休憩
・マーケティングにおけるD&I(グローバルマーケティング部門のD&I責任者)
・初日終了にあたり
・夕食 >> フルコース。結局、国籍別(勤務国で無い)で歌や踊りを披露するはめに・・・。会議で非常におとなしい私はどうするのだろうと思われたようですが、ひな祭りの説明をした後に歌を歌うと、そのような日は他国には無いこと、歌に意味があること、メロディーが独特であることから、非常に印象に残ったそうです。後々まで複数の参加者に言われました。。。
二日目:
・昨日の振り返り(事務局責任者)
・5ヵ年D&I戦略策定のためのワークショップ(外部講師) >> 4テーマから興味のあるテーマを選べた。私は日本が最も遅れている「人種・性格・思考回路面での多様性推進には?」を選びました。他のテーマは「フレキシブルな職場環境」「革新的なチーム構築」「無意識の偏見」。この中での私のある発言(課題提起)が大きな波紋を呼び、そしてこの後のグローバル経営層との会話で課題的することになります。詳細は後日の連載にて
・ グローバル経営層との昼食(立食)
・ D&Iの成功事例の共有(参加者)>> 事前提出資料やポスターをもって、発表
・ 全プログラムのまとめ(事務局責任者)
参加者は当日、出身国のお菓子を持参するように言われており、当日、会議室の後ろのテーブルに並べられていました。お金の寄付を募ると共に、色んな国のお菓子の交換(会議に中で時々、何を持ってきたのかを聞かれた人もいました。おせんべいを持参した私も聞かれました)を通じて、他国の文化を理解しようということだったのだと思います。
二日目は15時に終了。欧州域内(スイス、フランス、ドイツ、イタリア、英国)からの参加者は即、飛行機・列車・車などで帰国していました。それ以外の参加者の一部(写真の左から、米国、シンガポール、エジプト、スペイン、トルコ、そして私)とで町を散策し、現在はスイス本社で勤務中のエジプト人も加わって夕食をとりました。
お時間をいただいて、D&Iのあるべき姿や特に日本におけるD&Iの課題、米国でなく欧州(スイス)本社のグローバル企業で見えてきた構図などについて、お時間をいただいて、徐々に連載していきたいと思います。