夫と妻の間には 波風の一つもない、何もない。

夫である武さんはそう言うけれど、

果たして、妻はそうなのかしら?

 

もし、武さんの言うとおりなら。

彼女が単身赴任の夫が「不倫」に身を焦がしているだなんて

これっぽっちも案じていないのなら・・・

それはそれで腹立たしい。

 

東京の本宅に帰省せず、私と過ごす週末。

彼が優しければ優しいほど、私のなかで青白い嫉妬の炎が揺らめく。

 

口には出せない、出さないけれど

こんな時間を過ごしたかったのは、本当は「妻」と言う生き物となんじゃないの?

夫婦になって20数年、当初の激しい愛は消え失せたかもしれないけれど

確かに存在するであろう互いへの信頼感が気に入らない。

 

何もなくて、飽きあきしているのなら

何もなくて、単に刺激がほしかっただけなら

鏡面のような水面に波を立ててしまおうか?

 

もし私が 彼女を傷付けたなら

貴方 私を殴るかしら?

 

彼は知らない。

「夫」に戻り、「妻」と過ごす場所を私が知っている事を。

彼は知らない。

ストリートビューで見た、二階のベランダの洗濯物にさえ

私が嫉妬している事を。

 

本気で愛していると言うから、私も本気で愛しているだけ。

 

酸いも甘いもかみ分けた40女の覚悟。

慰謝料なら 払います。

 

何度も別れを切り出した私を手放してくれなかった武さん。

毒を食らわば 皿まで。

 

貴方の本気は これから試される。かもよ?