「それじゃ、五日間も居させてもらって、ありがとうございました」
そう礼を言って、私たちは出発することにした。
「それじゃ、今度は年末に」
「勘弁してください」
「残念ながら、清水さんがいる限り逃げられない運命なのよね」
おのれ容易に私の弱みを見つけやがって。
「それじゃ、五日間も居させてもらって、ありがとうございました」
そう礼を言って、私たちは出発することにした。
「それじゃ、今度は年末に」
「勘弁してください」
「残念ながら、清水さんがいる限り逃げられない運命なのよね」
おのれ容易に私の弱みを見つけやがって。
「さて、昼食も終わったし・・・帰りましょうか」
食後、唐突に五十嵐さんがそう言った。
「ここにきて随分と急かすな」
「そりゃ、初日に宅配で贈った荷物はもう家に届いてるはずだから、早く戦利品チェックしたい」
「あー、分かるわ」
「分かるんだ・・・」
届いた荷物を早く確認したいという部分だけは、私も共感はできるけどね。
「そういや、コミケでも料理関係の本に興味示してたわね」
五十嵐さんが横からそう話に入ってきた。
「そりゃ、レパートリーが増えれば美味しい思いも増えるからね」
「私からしたら、そういう本は飯テロ以外の何物でもないわ」
私の答えに美咲さんがそう呟いた後、
「そうか、料理ジャンルでサークル参加させれば・・・」
「だから唐突に不穏な話に持っていくの、やめてくれないですかね?」
明らかに私を深入りさせるつもりの言葉がちょいちょい出てくる。
「ん~・・・これってさ、材料のために買っておいた食品は全部使った方がいいのかな?」
「そうね、どうせ私は料理してまで食べようとはしないだろうし」
それはそれでどうかとは思うが、使える材料が多いならレパートリーは増える。
「というか、なんでそんな料理が上手なの?」
「そりゃ、自分で食べたいものは自分で食べたい時に自分で作れた方が便利じゃないですか」
「出来合いのものを買った方が早いって発想に至るかどうかが、料理上手になるかどうかの境界線なのかな?」
出来合いのものを小遣いで買うには高いので、家にあるもので作るのが普通だったんだけどな。
「さぁ、この部屋で最後の料理をする時間になってしまいました」
私はそう言いながらキッチンに向かう。
「冬にもあるよ」
「秋にも大小さまざまな即売会が」
「やなこった」
私をどこに引きずり込もうとしているんだヲタの方々は。
「うぉーし、これで帰る準備も全部終わった!」
峰岸さんがそう言いながら、その場に倒れこんだ。
「あとは筋肉痛に慣れてきたところでようやく帰れるってところか」
「コンビニに行けた時点で、もう十分慣れたと思うんだけど」
「昼食食べたら即出発でいけるわね」
そんな彼女を見ながらの私と五十嵐さんの科白がそれだった。
買い物が終わったので、
「おーい、帰るよ」
私は雑誌のコーナーにいる五十嵐さんと湊を呼んだ。
「なに、もう買い物終わったの?」
「もうじゃないわよ、こんなの十分くらいで終わるのが普通でしょ」
「まぁ、いいけど・・・で、台車を置きっぱなしにする気?」
「あ、忘れてた」
帰りは必要ないから、忘れてしまうわけだ。
そんなこんなで買い物を続けていると、
「そういうのを食べることにはどうこう言うつもりはないんだけど・・・もう少し栄養考えた方がいいんじゃないかな?」
なんかそう言いたくなる様な、美咲さんの持つカゴの中身だった。
「んー・・・でも、楽なんだよね、カップ麺」
「とりあえず、生食ができる野菜とか切って入れるだけでも、栄養面は補えると思うんだけど」
「切るのって、面倒だよね」
自炊を面倒だと思ってるのかと思ったら、そこがすでに面倒だったのか。
「とりあえず配送は頼んだから、あとは適当に買い物をしていくわね」
美咲さんがそう言いながらこっちに来た。
「買い物ったって、昼食は部屋にある食材で作るから、私たちは特に買うものはないわね」
「よーし、これを買うぞ」
「アイスって・・・待って、あんたお金枯渇したんじゃないの?」
「私が後で実家に請求する予定で貸してる。ちなみに利子付けるから」
わざわざ貸してるんだ。しかも利子付けるんだ。
そして送るのは住所を知ってる美咲さんと湊に任せて、私たちは適当に店内をぶらつくことに。
「そういえば、なんか暇潰しみたいな感じでコンビニを見て回るの、初めてかもしれない」
「まぁ、そういう風にコンビニを利用するの、相当な暇人でしょうからね」
そう私の言葉に返すように言いながら、五十嵐さんは適当な雑誌を手に取る。
「で、なんでパチンコ雑誌を手に?」
「なんかアニメっぽいキャラが表紙の片隅を飾ってたから、つい」
ヲタはそれで条件反射を起こすのか?