「とにかく、これで五日間にも及ぶ旅が終わったのかと思うと、感慨深いものがあるわね」
私がそう呟いていると軽く肩を叩かれ、
「次は年末よ」
五十嵐さんがそう言った。
「やなこった」
それに対して私は、たぶん満面の笑みを浮かべながらそう言っていたんだと思う。
「とにかく、これで五日間にも及ぶ旅が終わったのかと思うと、感慨深いものがあるわね」
私がそう呟いていると軽く肩を叩かれ、
「次は年末よ」
五十嵐さんがそう言った。
「やなこった」
それに対して私は、たぶん満面の笑みを浮かべながらそう言っていたんだと思う。
すでに太陽は西に傾いた、いわゆる夕方になったところで、
「わが地元よ、私は帰ってきた!」
「よ・・・ようやく帰ってこれたわ」
やっとの思いで地元に帰ってこれたわけだ。
「いくらなんでも、電車に乗ってた時間が長すぎた」
「昼頃に出てきて、夕方に到着だもんね」
私の言葉に、湊が苦笑しながらそう返していた。
そうこうしている内に電車が来た。
「あー、冷房が効いてる車内はいいわー」
峰岸さんがそう言いながら電車に乗り、
「寝るな、寝たら次は反対側の終点よ」
乗った後に座るのとほぼ同時に眠り始めた湊に、五十嵐さんがそう言っていた。
というか、まだ寝るのか。
「いやー、こうなると早めに出発したのは正解だったって思うわ」
のんびりとアイスを食べながら、五十嵐さんはそう呟いていた。
「このために早めに出発したんじゃないんだけど」
「過ぎたことはもう気にしない方がいいわよ」
「なんというか、昨日休んでたはずなのに、疲れがドッと出てきます」
アイスを食べ終わって暇をしてる湊がそんなことを言っていた。
「こういう時は大人しく次の電車を待とう」
峰岸さんがそう言ったのだが、
「待つのは仕方ないとしても、なぜアイスを?」
「ただ待つのは暇なんだよ」
「これから私も買ってくるつもりだし」
「本当に申し訳ない」
とりあえず、構内に売店のある駅で助かった。
「戻ったわよ」
「時間かかったわね」
五十嵐さんが戻ってきたところで、私はそう言った。
「次に乗るはずだった電車、出発したわよ」
「慣れない駅だから、トイレの場所がなかなか分からなくて」
「案内板とは、何のためにあるの?」
「それを見た上でこのザマよ」
まったく、なんで終点まで来てしまったのか・・・
「警戒はしていたはずなのに、私までうっかり寝てしまったわ」
「疲れが抜けきってないんだな、私ら」
そんなことを言っても、すでに終点に来てしまったのだから仕方ない。
「戻る電車・・・出発まであと二十分くらいだけど」
「そう・・・なら、やることはひとつね」
そう言ってから五十嵐さんは踵を返し、
「ちょっとトイレ行ってくる」
そうなったか。
あれからしばらくして、電車から降りた私たちは、
「ここ・・・どこ?」
「簡単に言うと、終点」
「まさか、四人揃って寝落ちるとは思わなかった」
降りる駅を通り過ぎていた。
「うぉぉぉぉ! 間に合ったぁ!」
峰岸さんが奇跡的に出発前に戻ってきた。
「荷物だけで出発するって事がなくてなによりね」
「まったくだ・・・というか、清水寝てるぞ?」
「なんか今日あまり喋らないなって思ったけど、疲れてたみたい」
「昨日、コミケに参加してないのにか?」
単に疲れが抜けきってなかったのかもしれない。
結局、峰岸さんが戻ってくる前に電車が来た。
「清掃とかあるから、すぐには乗れないけど・・・とりあえず私が外で戻ってくるまで見てるから、先に席をとっておいてね」
五十嵐さんがそう言ったところで、
「峰岸さんの荷物は?」
「荷物はこっちで預かる。出発するまでに戻ってこれなかったら荷物だけゴーさせる」
いろいろと酷い。