名古屋で、私が会員特典でお値打に観られる映画館では朝かレイトショーかで、こんなもん会社休まず観るの無理やんけ…と思っていたところに最近は17:40~の回発見。
アッ、終業後普通に間にあいそ!!と早速行ってきました。
「RRR」(2022)
公開が2022年の秋ごろだった気がして、ネットで謎に話題になった時に興味持って調べたらレイトショーは無理やんなァとあきらめた覚えがあったので、一日一回でもほそぼそとずっと公開していたのがすごい。
因みに7割方席が埋まっていて、見えづらい前ブロック除けば体感的にはほぼ満席。この映画何がこう人を惹き付けるの…。(※惹き付けられるのが観れば分かったので、DVD買おかな…)
英国の植民地時代、かなり虐げられていたインド人がイギリス人提督相手に立ち向かうっていう歴史ヒーローもの。基本嫌らしく残虐に描かれているイギリス人を景気よく殴り飛ばしたり射殺したり吹き飛ばしてて、第三者的にもなんかスカッとするなぁ…イギリスでは上映されてるのかしらん。
誰が観ても提督夫妻はド屑に描かれているので、あの最期にはスカッとしますね。大英帝国が植民地で被支配民相手にかなり好き勝手やってインドのキャラコとか地場産業ぶっ壊しその他諸々でセポイの乱(今言わないんですよね。年がバレるやつ。)に至るくらい現地で憎まれていたので、ステレオタイプの悪人に描かれてるとか批判もあるらしいですけど、この表現は別にやりすぎだとは思わないな、私は。
これが史実の英雄元ネタにしてて、歴史の表舞台に出てくる前をイメージして映画にしちゃったとかすごいなって。
日本だとどうだろ、内乱はそこそこ沢山あるけれど、外圧に立ち向かうことがあんまりなかったから、こういったテーマの作品は難しそう。島原の乱とかも違うしなぁ。
・アクタル(ビーム)
ゴーンド族の「守護者」。リーダーとして、無理やり連れていかれた一族の少女マッリを取り戻すため戦い続ける。
狼や虎と対等な脚力持ってるわ腕力だって遜色ないわと、野性味溢れて色々と人間離れしている。
デリーにはムスリムのアクタルとして身元を偽って修理工の家に居候中。
たまたま少年を協力して助けることになって知り合ったラーマを兄貴ィ!!と呼んで慕う。
手作りの謎薬は、毒蛇の解毒は兎も角、砕かれた膝を回復までさせるすごい効能。
元ネタは名前そのまま実在のコムラム・ビームさん。
・ラーマ
人間離れした剛腕のイケメン警察官。
活動家集会に潜り込んでゴーンド族から来たヤバい奴を探そうとした。
同胞を踏みにじってでも早く出世がしたい人物かと思いきや、実は植民地解放運動の活動家で武装蜂起の武器調達の為出世を目指していた。
ジェニーを気にするアクタルに、気になるなら声掛けちゃいなYO!と焚き付け積極的にアシストしてくれる男前な兄貴。
故郷にはシータって名前の超かわいい恋人がいて、お互いでネックレスの片割れを持ち合っている。
字幕はラーマなのにおじさんからは明らかにラージュって呼ばれてるから発音の問題かと思ったら、モデルになった実在の人物がアッルーリ・シータラーマ・ラージュさんとのこと。成程。名前の中にシータもいた。
・マッリ
歌うまで手先も器用なかわいい少女だったせいで、イギリスの総督夫妻に銅貨2枚で連れ去られた。
故郷に帰りたい。
・ラッチュ
ビームの弟。
活動家の集会で提督を殺せ!と主張したラーマに声を掛けたらまんまと釣りあげられて逃げ続ける羽目に。
ラーマに指を折られたけど、ラーマの慈悲で無事脱出。
・シータ
ラーマの可愛い幼馴染で婚約者。子供の頃からラーマの家に入り浸って、ママさんからは娘同様に可愛がられていた。
ラーマの処刑予告貰ったので、遺体の引き取りに出てきてビームと知り合いになった。
・ジェニー
「褐色人」を差別せず、人間としてちゃんと扱えるひと。
ドレスなのにナートゥにはかなり頑張って付いていったフィジカルの持ち主。
友達になったビームの為に刑務所の地図を融通してくれたり、何かと協力してくれるけど、後ろ盾の伯父夫妻もぽっくり死んで、この後どうなったのかほんと気になる。
マダムハ・ヤメテ・ジェニーヨさんではない。
・スコット提督(ポルトス、ヴォルスタッグ)
英国紳士()の悪いところを煮詰めたようなおじさん。最近叙爵された。
銃弾一発のコストを常に意識するコスパの鬼。
前科もない人相も不明なビームをふわっとした情報のみで逮捕しろとか無茶苦茶言う割に、ラーマの手の汚れにピンと来るあたり無能では無さそう。
・キャサリン夫人(ゾリンの美女軍団の一人ジェニー、裂け目にボッシュートされたエルザ)
提督夫人のヒステリー鬼婆。
血しぶきや血だまりが見たいのよォ!!!と、夫もちょっと引いてる。
本人は認識してないだろうけど最期はお好みのシチュエーションで迎えた。
・エドワード
提督の所の秘書みたいななんか手下。
・ジェイク
ジェニーにアシストされながらおっかなびっくりワルツ踊ってたビームに足引っ掛けて転ばせた挙句フラメンコ!とか煽りちらしていじめるヤなやつ。
西洋の伝統的で品があるダンスが得意らしいけど、ナートゥには最後まで付いていけずひっくり返り無様を晒す。
・ヴェンカテシュワル
ラーマのおじさん。兄弟に言われて警察に潜り込んでる。
・ヴェンカタ
ラーマの父親。
元々イギリスの手下の警察してたけど、あんまりにもひどいインド人の扱いに辟易して脱走、故郷の部族を軍事教練して鍛え上げていた。
イギリスの武器をちょろまかして部族に届ける願いは息子に引き継がれた。
最後は集落に攻め寄せるイギリス軍の大群巻き込んでの壮絶な爆死を遂げた。
エッタラジェンダーで一コマだけ参加。ピンで登場してバックダンサーも従えてないから分かりやすいかも。
・サロージニ
ラーマのママ。シータを超可愛がってた。お嫁に来なくてもうちの娘!
夫の指示で部族の仲間を連れて逃げるはずが、目の前で撃たれた息子の所に駆けつけようと立ち止まって射殺された。
・チンマ
ラーマのちょいぽちゃな弟。
イギリス軍が攻めてきたときに転び、逃げ遅れて射殺された。
・マッリのママ
銅貨2枚投げられたから娘の歌のお礼………???と、自分も仲間も英語が分からないせいでマッリを連れ去られ、必死に追いかけて娘を帰してくれるようお願いしたら、娘の目の前で太めの枝で殴り倒された。
生きてた。
本当に良かった良かった。
・エンディングでドヤ顔で踊ってるおっさん
こんな人劇中に出てきたっけな…ラーマのおじさんにしてはちょっと顔違うし…と思ってたらまさかの監督だった。なんならジェニーより超目立ってる。
まずアクションの表現と圧力がすごい。
序盤で少年を二人の協力プレイで救うんですけど、それがまぁ、ギリ可能かな…?のラインを攻めてくるのでだんだん洗脳されてきて、エスカレートしきった終盤のむっちゃくちゃなアクションすら、さすがビームとラーマだ!もっとやれ!!と拳を握って固唾を飲んで見守ってた自分。
膝砕かれた兄貴を肩車して二丁ライフル、リロードは兄貴担いでるビームとか泥臭いことしてるのに無茶苦茶スタイリッシュで楽しい。
古き良きインド映画あるあるの踊っているうちに色々解決していくご都合展開っていうのは今回は無かったけど、イギリスの女性陣とビーム・ラーマの群舞ってのがなんか私としては斬新で面白かった。インドらしいきれいなお姉ちゃんの大群従えて踊るのは結構見たことあるけど、白人女性の大群と一緒に踊ってるのは観たことないなぁ。ほかに探せばあるのかもしれないけど。
ナートゥのシーンで二人がウインクするところ、ヒャァカッコいい!となります。
渋くなり始めた年頃のカッコいい男性のウインクって、いくつになってもある種ときめきに近いものを感じますよね。
ボリウッド・トリウッドその他インド映画も最近の作品は、CGもそうですけどもうハリウッドとそん色ないレベルまで質が良くなってきている気がします。勿論、日本で私たちが触れるのはたくさんの作品の中でもとっておきの上澄みなんでしょうから、そりゃ名作ぞろいに思えるのでしょうけど。
ラーマもイギリスの手先として登場して、ビームよりも、登場人物の誰よりも、西洋の衣装なのも相まって飛びぬけてヨーロッパ的な人物(風)だったのに、暫く牢獄に繋がれて髪の毛伸び放題になった挙句膝砕かれてビームに治療された後は、装備した祠の旗と弓矢のせいで、ビームよりはるかに現地の英雄感丸出しになってて面白い。
そのラーマが自分の活動を思い直すきっかけになるのが、どんなに傷ついても決して膝をつかないビームの歌ってのが凄く胸熱。言葉が分からないけど翻訳がすごくきれいで、どの歌も良いんですけどどれをとってもいい感じにスッと入ってくる素敵さがありました。
鎖につながれてる兄貴のシャツの二の腕が無駄に避けてて上腕二頭筋見せつけてくるのも、あぁ、なんかこの雄々しさのアピールに余念がない辺りインド映画ぽいなと思いました。
特に良いところ
①予告編でカッとびアクションシーンは丸々公開しているといっても過言じゃないけど、それでもストーリーの中に埋め込まれていると流れの自然?さや動きの凄さに惹き付けられるところ。
②兄貴カッコいいよ兄貴。
③人間離れした無茶苦茶な体幹やら筋力、超人的なアクションなのにやたら説得力があって納得しちゃった。
④いい感じの音楽とそよ風と共にアクタルとラーマがキャッキャしてるだけでいらんセリフ無くても、そこそこ長い時間男二人が友情や信頼関係を育んでいったんだなと分からせる自然さ。
⑤歴史もの大好物です。
⑥正義は勝つ、大変後味よろしい・よろしすぎるハッピーエンド。
⑦出てくるメインキャラクタ皆きれい。
⑧劇中の群舞シーンだけじゃ皆さん物足りないでしょ?分かってるよホレと言わんばかりのスタッフロールの群舞。右端にほっそく流れていくスタッフの名前は当然ながら判読不能。
⑨シータちゃんが野郎二人従えるニコニコの群舞シーン。これよこれ。
⑩インド映画群舞シーンに舞う謎のカラーパウダーとか金箔みたいなのがあってそこも満足。どうでもいいけどあれ吸っても安全なのかな?
⑪ターバンってああやって巻くんだ!ほんとにあぁもこんもりするんだ!
ちょっと悪いところ
①予告編終了後、実質17:50~20:45までの超長丁場。世間の飲食店は21時にオーダーストップなんですよ。
②一瞬インターミッション挟んだけど一瞬過ぎて意味は…もしかして現地公開版だとちょっとした休憩時間になってるのかなあそこ。
③ダンスパーティーの衣装。昼の会なのにジェニーの露出が高すぎでは?とちょっと気になったけどまぁ私のドレスコード知識なんてアテにならないし、植民地インドは暑いから本国ほど厳格じゃないとかあるのかも。
途中二回くらい、「…これ本当に終わるんかな?」と思うくらいちょっと長い映画なんですけど、面白かったです。インド映画初心者にもオススメ。
まぁ私も、ラジニカーント主演の「ムトゥ踊るマハラジャ」「アルナーチャラム踊るスーパースター」くらいしかまともに見たことなくて…バーフバリは配信やってたところの半分くらいをながら見した程度。もう一回、今度はちゃんと観たいな。
エンディングにインドの偉人のイラストが出てくるのですけど、一番目に出てくるボースとラクシュミー・バーイーくらいしか分からなかった。…と思ったら、シネマトゥデイの解説見た感じあの女性、ラクシュミー・バーイーじゃなくて、同じく東インド会社相手に戦った別の王妃チェンナンマだそう。シータが紹介してるのは皆女性だと思ってたから、シータが二回目に登場した場面に出てくる人あれ男性なんだ、インド史あんまり触れてこなかったからわかんないよ…。
多分見分けるコツは、偉人のイラストが出てくるコマの俳優さんたちの衣装なんでしょう、所縁のある地域の衣装着てるみたいなので。
「バンバン」も予告編からちょっと気になる。映画自体はちょっと前なのになんか今更公開?するんですね。そしてあの美女捕まえて地味目OLは無いわぁ嘘ぉ。
インド映画と言えば、あるあるなのは目鼻立ちがはっきりした大変な美女(プリヤンカー・チョープラーさんとか美しいよねぇ)と、そして男性の俳優さんがあらかた顔と肌の色と髭が濃いややむさくるしくて雄々しいおじさんなんですけど、そんな男女ともソース顔的に濃いめなインド映画には珍しい、どことなくヨーロッパ系ぽさある(まぁインド北部はアーリヤ系の方が沢山いらっしゃるけどね)目元涼やかなイケメン俳優リティク・ローシャン主演。
タイガー・シュロフって方もあんまり、イメージするような男くさいインド俳優ぽくなくて、なんかロバート・ダウニーJr.に系統が似てるなと私は思います。
この二人が共演してる「WAR」って映画も普通のアクション映画で平均以上には楽しめます。群舞シーンは勿論あります。でもこっちのほうがストーリーにも説得力あってずっと面白いかな。