第75回びわ湖毎日マラソン

(日本陸上競技連盟、毎日新聞社など主催、住友電工特別協賛)

は8日、大津市の

皇子山陸上競技場を発着点とするコースで行われ、

エバンス・チェベト(ケニア)が2時間7分29秒で初優勝した。

【フォトギャラリー】チェベト、冷たい雨でもペースを落とさぬ力走

 冷たい雨をものともせず、

チェベトが一人旅でフィニッシュテープを切った。

自己ベストが2時間5分0秒と

出場選手中最速のケニア人ランナーは

実力をいかんなく発揮し、

「厳しい条件だったが、狙い通りに優勝できた」と喜んだ。

 1キロ3分台で刻むペースメーカーが30キロ地点で外れると、

モコカ、キプロティッチとの3人でペースアップ。

13人で形成していた先頭集団をふるい落とした。

さらに、勝負どころとみた35キロ過ぎで一気にスパート。

「左右の選手の様子を見ながら、

付いて来られないようだったので一気に振り切った」

と振り返った。

 ケニア西部の標高約2200メートルにある町

カプサベットを拠点に練習を重ねるプロランナー。

今大会に向けて約半年間、未舗装路を含めて

連日約30キロの走り込みを重ねてきた。

ナイキ製の厚底シューズが陸上界を席巻するが、

自身が愛用するのは他社の軽量薄型モデル。

「このシューズで2時間5分台を何度も出してきた。

とても気に入っている」と最新の流行さえ一笑する。

 東京オリンピックのケニア代表は、すでに

前回リオデジャネイロ五輪金メダリストで

2時間1分39秒の世界記録を持つ

エリウド・キプチョゲらに決まっているが、

「あこがれ」のランナーに近づくため、

世界の舞台で戦い続ける。【伝田賢史】

 

 

 作田直也(JR東日本)が

2時間8分59秒で日本勢トップの4位に入った。

【写真で見る】3月の冷たい雨が打ち付けるコース

 日本勢トップの作田は

「2時間10分切りと日本人1位のどちらかを狙っていた」

と満足感をにじませた。

ただ、雨で気温以上に肌寒かった影響もあり、

終盤はトップ争いに加われなかった。

「後半、大幅にペースを落としたのは力不足」

と反省も忘れなかった。

 中盤過ぎまで2時間7分台を狙えるペースで進んだが、

30キロ過ぎに外国勢や鈴木ら4人がスピードを上げても

無理に追わなかった。

力をためたことで、32キロ過ぎで鈴木をかわし、

34キロ手前で並走していた奥野を突き放し日本勢トップに。

「焦らず自分のペースで行こうと思ったのがうまくはまった」。

ただ、35キロからの5キロは16分とペースダウン。

先頭を追うまでには至らなかった。

 千葉・長生高から順大に進み、

2017年の箱根駅伝10区で区間賞を獲得するなど活躍した。

JR東日本入社後はけがで苦しんだ時期もあったが

地道に鍛錬を積み、

元日のニューイヤー駅伝では4位入賞したチームで

エース区間の4区を任されるなど着実に成長してきた。

 東京五輪代表への基準となった大迫の日本記録には

遠く及ばなかった。

「(大迫らと)同じステージには居られていない」と自覚している。

それでも、伸び盛りの25歳は

「ちょっとずつ(自己記録を)更新すれば、

また強い選手と戦っていける」。

一歩一歩、己のペースで強くなるつもりだ。【新井隆一】

 

 

 マラソン初挑戦の山本翔馬(NTT西日本)が

2時間9分18秒で日本勢2番手の5位に入った。

 初の42・195キロを終えた山本は

「足も上半身も筋肉痛でバキバキ」と顔をしかめつつ、

充実感もにじませた。

雨の中を2時間9分18秒でフィニッシュし

「12分台が出れば万々歳と思っていた」と喜んだ。

 30キロまで15分前後で刻んだ5キロごとのラップタイムだが、

35~40キロで16分18秒まで落ちた。

終盤は強い向かい風にも見舞われ

「むちゃくちゃきつかった」。

それでも粘って再びペースアップし

「なんとか走り切れた」と振り返った。

 兵庫・西脇工高―大東文化大出身の24歳。

ルーキーだった2019年2月の全日本実業団ハーフマラソンで

1時間1分38秒で日本勢4位に入り

「1分台で走れたことで、マラソンを意識するようになった」という。

本格的にマラソン練習に取り組んだのは20年1月からで、

さらなる伸びしろを感じさせる。

「苦しいときに我慢できるタイプ」と自認する特徴を

初マラソンで証明し、

「8分、7分とタイムを縮めていき、

マラソンで日の丸を背負える選手になりたい」と、

大きな目標を見据えた。【野村和史】

 

 

 2020年東京オリンピック男子マラソン代表(3枠)の

最後の1人に、

1日の東京マラソンで自らが持つ日本記録を

2時間5分29秒に縮めた大迫傑(ナイキ)が決まった。

8日に大津市の

皇子山陸上競技場を発着点とするコースで行われた

第75回びわ湖毎日マラソンで、

日本勢1位の作田直也(JR東日本)が

2時間8分59秒にとどまり、

日本陸上競技連盟による選考条件を満たした大迫が選ばれた。

 男子マラソン代表は、

19年9月の「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で

1位の中村匠吾(富士通)、2位の服部勇馬(トヨタ自動車)が

すでに決定。

残る1人は選考会「ファイナルチャレンジ」に指定された

3大会(福岡国際、東京、びわ湖毎日)で、

日本陸上競技連盟による設定記録(2時間5分49秒)を

クリアした上で日本選手最速となることが条件だった。