<全国高校野球選手権立命館宇治1-0秋田中央>◇7日◇1回戦

 37年ぶり出場の立命館宇治が、春夏通算6度目の挑戦で、

うれしい初勝利を挙げた。(日刊スポーツ)

【写真】サインを出す立命館宇治・里井監督

 秋田中央・松平涼平投手(3年)、立命館宇治・高木要投手(3年)の両エースが

ともに3回まで被安打1の立ち上がり。

ただ、松平は3回まで4与四死球。

4回にも2死球が絡んで2死満塁と走者を背負ったが、踏ん張った。

 5回は秋田中央、立命館宇治ともに得点圏に走者を進めたが、

あと1本が出ず、両チーム無得点だった。

 秋田中央は7回表に2四球とバント安打で無死満塁に。

だが、立命館宇治・高木は落ち着いた投球でピンチをしのいだ。

 試合が動いたのは7回裏の立命館宇治の攻撃。

1死二塁から上田龍一郎外野手(3年)の打球を、秋田中央二塁手が失策。

外野へ抜けた間に二塁走者が生還し先制。これが決勝点となった。

 秋田市立時代以来45年ぶり出場となった秋田中央は、

72年夏以来47年ぶりの勝利はならなかった。

 

 

 秋田中央・佐々木夢叶内野手(3年)が、1つのプレーを悔いて号泣した。

7回裏1死二塁、二塁ベース側に転がった二ゴロを痛恨の適時失策。

【写真】適時失策をした佐々木は仲間に励まされる

 この1失点が最後まで響き、

「大事にいこうとして足が止まってしまった。バウンドのタイミングを合わなかった」。

9回2死二塁の好機で打席に立ったが、

「エラーを取り戻したかったけれど迷いが出てしまった。悔しい」と二ゴロで最後の夏を終えた。

 

 

 立命館宇治のエース高木要投手(3年)が快投で

同校を春夏通じて甲子園初勝利に導いた。

【写真】打球の当たった場所を里井祥吾監督に触られる高木要

 7回表に無死満塁のピンチを切り抜けるなど、要所で踏ん張り、

聖地で自身初の公式戦完封勝利。

7回に同校夏の甲子園初得点となった1点のリードを守り

「甲子園の舞台で1勝できたことが純粋にうれしい」とほっとした笑顔を見せた。

 終盤3イニングはいずれも得点圏に走者を背負ったが、仲間の笑顔にも励まされ

「バックが心強かったので自分らしいピッチングができた」と振り返った。

 パワーの源があった。

里井祥吾監督(36)のパンだ。

指揮官はパン職人でもある。

前日6日、選手らを乗せたバスは

練習場から宿舎に帰る途中、里井監督の実家に立ち寄った。

差し入れでタマゴサンドとウインナーパンをもらい

「めっちゃおいしかった。次は食べ放題にしてほしい」と吉村主将。

実は、選手は今まで「食べてみたい」と言い出せず、今回が初めてだった。

 この日はコンクール参加のためアルプスでの演奏がかなわなかった吹奏楽部も

2回戦から応援団に加わる。

その2回戦の相手は奥川を擁する星稜。

高木は「1回見てみたいと思っていたが、まさか当たるとは」と苦笑いしながら、

「チャレンジャーらしく、いつも通りプレーしたい」と静かに闘志を燃やした。

くしくも、同じ1-0完封。被安打3も同じ。思い切りぶつかるだけだ。【佐藤あすみ】