スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、

2015年のノーベル医学生理学賞を、ア

フリカや中南米の寄生虫病特効薬の開発に貢献した

大村智・北里大特別栄誉教授(80)と

米ドルー大名誉リサーチフェローのウィリアム・キャンベル博士(85)、

マラリア治療薬を発見した

中国中医科学院の屠※※(※=口ヘンに幼)(トゥーユーユー)博士(84)の

3氏に授与すると発表した。(時事通信)


 
 日本人のノーベル賞は、

青色発光ダイオード(LED)の開発で

赤崎勇名城大教授ら3人が物理学賞を受賞した昨年に続き2年連続で、

計23人となった。

医学生理学賞は

12年に人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で受賞した

山中伸弥京都大教授以来3年ぶりで、3人目。

 大村氏は東京都港区の北里大で記者会見し、

「電話があって驚いた。

私が考えたのではなく、微生物の力を借りているだけで、

こんな賞を頂いていいのかな」と述べた。

 大村氏は

静岡県内の土壌から採取された放線菌が生み出す抗生物質

「エバーメクチン」を1979年に発見。

キャンベル博士がかつて勤務した大手製薬会社メルクとの共同研究で、

この物質に基づく抗寄生虫薬「イベルメクチン」が81年に家畜用に発売された。

 イベルメクチンは

アフリカや中南米の寄生虫病「オンコセルカ症」や

熱帯で流行する「リンパ系フィラリア症(象皮症)」にも有効と分かり、

各地で大量に使われている。

大村氏は92年に紫綬褒章を受章し、12年には文化功労者に選ばれた。

 大村氏はエバーメクチンの他にも、

抗がん剤の研究開発などに使われるスタウロスポリンなど

500種に上る有機化合物を発見した。

 屠氏は

漢方薬に使われる薬草の成分から

マラリア治療薬「アーテミシニン(アルテミシニン)」を発見し、

世界的に使用されている。

中国国内の研究者が自然科学分野のノーベル賞を受賞するのは初めて。

 授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、

賞金800万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)が

大村氏とキャンベル氏に4分の1ずつ、屠氏に2分の1が贈られる。