広島は6日、70回目の原爆の日を迎えた。

(時事通信)


 広島市中区の平和記念公園では、

市主催の「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が行われ、

被爆者や遺族、安倍晋三首相ら約5万5000人が参列。

松井一実市長は平和宣言で、

「絶対悪」である核兵器の廃絶に向け、

世界指導者に「『人類愛』と『寛容』を基にした国民の幸福を追求し、

武力に依存しない幅広い安全保障の仕組みを

つくり出していかなければならない」と訴えた。

 式典には過去最多の100カ国と欧州連合(EU)代表部の代表が参列した。

米国からはケネディ駐日大使のほか、

政府高官として初めてゴットメラー国務次官が参列した。

原爆が投下された同8時15分に遺族代表らが「平和の鐘」を打ち鳴らし、

1分間の黙とうをささげた。

 宣言で、松井市長は

「広島をまどうてくれ! (元通りにしてほしい)」と方言を使い、

被爆者の悲痛の叫びを表した。

来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や広島での外相会合を

「核兵器廃絶に向けたメッセージを発信する絶好の機会」と述べ、

各国指導者に被爆地の訪問を呼び掛けた。

 安倍首相はあいさつで、

「唯一の戦争被爆国として、現実的で実践的な取り組みを

着実に積み重ねていくことにより、

『核兵器のない世界』を実現する重要な使命がある。

また、核兵器の非人道性を世代と国境を越えて広める務めがある」と述べた。

 こども代表の桑原悠露君(12)=中区=と細川友花さん(11)=安芸区=は

「被爆者の思いや願いを

過去、現在、未来へと私たちの平和への思いと共につないでいく一人となることを誓う」

と平和への誓いを読み上げた。

 式典では、松井市長と遺族代表2人が、

この1年に死亡が確認された5359人の名前を記した原爆死没者名簿を慰霊碑に納めた。

犠牲者は29万7684人となった。