株主総会で、各役員の報酬開示を義務付けるようになり、大企業の億を越える高額報酬に、ネット論壇の中で、一部反発が起こっているようです。
特に、日産を再建したカルロス・ゴーン社長には8億9000万円支払っているというものには、菅総理もやんわりと皮肉を述べたようです。
【日産ゴーン社長、報酬8億9,000万円-「欧米に比べれば決して高くない」】
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/100623/56695.html
【菅首相、日産ゴーン社長のリストラと首切りを名指しで批判】
http://response.jp/article/2010/06/21/141816.html
日産の報酬体系がどうなっているかはわかりませんが、仮に従業員の平均年収を600万と仮定すれば、
8億9000万円で150人弱は賄えてしまうわけですから、
役員の報酬を抑えれば、多少の人は切らずに済んだのではないか、という論理はゆうにわかります。
ゴーン氏は「欧米に比べれば安いほうだ」と反論し、そのうえで「リストラだけでなく様々な商品や技術投入により再建していった。日本式の報酬システムでは外国人は雇えない」と主張しました。
(参考):http://www.sankeibiz.jp/business/news/100623/bsg1006231101003-n1.htm
私の感覚からしても、9億弱の報酬というのは夢のような金額です。
個人的にも、8億9000万という額は高すぎるかなぁ、という直感もありつつ、妥当だなぁという冷静に考えた一面もあります。
役員の高額報酬で問題になったのは、米国に再建を求めた大手投資銀行もそうですが、
今回とそのケースは異なります。
それは、実績を挙げたかどうか。
ゴーン社長の場合、日産はここ20年でよく復活した、と思っています。
その復活はゴーン社長なくしては語れません。
日本文化の悪いところなのか、日本人の社長がリストラを断行すると、その社長はその後精神的に追い込まれて、下手すると自殺をするケースもあります。
10年前、そごうの副社長が自殺したケースももしかしたらリストラが一因とも言われています。
日産も同様になかなか首切れなかったところを、ゴーン社長が何食わぬ顔して改革を実行していったことで、社員は涙を飲むも会社は立ち直っていきました。
一方、再建を求めた大手投資銀行の役員の場合は、リーマンショックの煽りもありますが、業績としては失敗しているわけです。
それなのに、自家用ヘリで議会までやってくるリッチぶりを示されているようでは、それは他人に支援を求める態度とは言えないし、評価に値しないでしょう。
私が彼らの会社を改造するコンサルタントになれば、役員報酬を全員年収12ドルにして、嫌なら他の会社へ出ろ、と進言するでしょう。
業績を出せば、その分だけ報酬をもらえて、そうでなければ減額というのは、市場原理からすれば当然の話です。
そうでなければ、出世する意味なんてありません。
一方で、課題に残るのは
・その高額報酬の内訳、計算方法はどうなっているのか
・欧米の基準が本当に正しいのか
というところです。
8億9000万もあるならば、それこそ前述の論理ではないですが、運動部を潰す必要なんてなかった、むしろ半企業半市民チームとしてポケットマネーから支援すればよかったのです。
その8億9000万という根拠や計算方法まで開示されないと、株主は心から納得しないのではないでしょうか。
また、ゴーン社長は「ベンチマークとなる他の企業の役員報酬と比べれば安い」と主張しますが、
果たして他社の給与システムが経営システムとして正しく機能していると保証するのは安直な気がします。
たしかに日本企業の報酬は安いのは間違いないです。昨今の優秀な学生が外資系企業に流れるのも無理はないでしょう。
その分、日本企業では身の保障、いわゆる終身雇用制で保障していたから(今はほぼ崩壊していますが)安いところがあるのです。
頑張っていれば金がもらえる時代が終わり、金がもらえるから頑張る、という経済人の時代になった、というのは何か悲しきものも感じますが、
金以外で労働者の意欲をわかせる制度設計がなされれば、それこそ効率的な経営ができるでしょう。
まぁ、ゴーン社長を招いてまで改革をやってもらって、日本人ができないということこそ事の発端な気もしますし、
どこかの政党ではないですが、たちあがれ日本人、ともゴーン社長は遠まわしに皮肉しているのかもしれません。