この手の高級な飲み屋には縁がないと思っていた。
ところが、会食に知人の社長を招き、銀座で和食を楽しみ、
ご馳走したところ、「次はぜひ、私の店で」の誘いのまま、
赤坂に繰り出すことになった。
スナックでも行くのかと予想していたのだが、
辿り着いたのは、美しくかつ華麗な夜の蝶が舞う空間だった。
足が沈んで吸い込まれそうな高級絨毯に、
重厚な革張りのソファ、そして、美女たち。
50年近く生きているが、あまりこの手の飲み屋には縁がなかった。
多少、緊張を覚えながらも、社交的な”蝶”たちとの時間を
楽しんだ。
ボトルを開け、チイママの誕生日祝いにと注文したシャンパンを楽しみ約3時間。
恐怖の瞬間が訪れた。何と10万円を越えていたのだ。
さすが、ここまでお世話になるのはと礼儀に反すると考え、
割り勘を提案したのだが、知人の社長は某一流クレジットカードを素早く出し、
会計を済ませた。
情けないことに、2つ年下の社長にご馳走に預かったのだ。
自宅に戻り、やはり、あれだけの高額なもてなしを受けるべきではなかったと、
珍しく反省してしまった。
業務上の利害関係は介在しないものの、やはり、対等な関係を維持するには、
高額なもてなしを受けるのは考えるところである。
分相応の付き合いこそが、無理のない、長く、深い関係を構築するのではと
日ごろから考えていた。
楽しい”蝶”とのひと時だったが、考えさせられる結果となった。
居酒屋で旨い魚でも食いに行くか。