ヒマラヤ紀行・食べ物編

 

 

 

   昨日まで4日連続で寒い日が続きました。
   こんな時、なにか体を温める飲み物をと思い出したのが、ネパールでよく飲んだ紅茶です。
   
●チャイ
   「チャイ」という甘いミルクティー。
   バザールに行くと、屋台のような店が数軒おきにあり、あつあつを素焼きの茶碗に入れて出してくれます。値段も当時で1~2ルピー(日本円で20円くらい)と安く、私たち貧乏旅行者にとっては、有り難い存在でした。
   
   作り方は紅茶の葉を一掴みと水、シナモンなどのスパイス類を鍋に入れて、沸騰したら3分くらい煮出します。さらに牛乳と砂糖を加えて、3分くらい煮出して出来上がり。
   
   これを大きな鍋でぐつぐつと煮ながら、大きなお玉ですくっては落としを繰り返しています。側を通るだけでシナモンの香りがして、美味しそうです。
   
   当時は、自販機で簡単に飲料を買える時代ではありませんでしたから、道中の水分補給として、安くて美味しい「チャイ」にどれだけ助けられたことでしょう。
   
   ネパールでは朝昼晩に飲まれるほど日常的なお茶で、現地で知り合いになったお宅に行った時も、この「チャイ」でもてなしてくれました。家々によって、少しずつ味付けは違いますが、あつあつの「チャイ」で体の芯から温まりました。
   
   その後、日本でも紅茶を飲む機会はたびたびありましたが、どんな高級専門店の紅茶よりもネパールで飲んだチャイが一番だと思います。
   
●揚パン
   バザールで買い物中、小腹がすいた時に食べたのが揚げパンです。
   
   揚げたドーナツ、から揚げ(甘い味付けの小麦粉)やサモサ(香辛料で味付けした野菜や肉を三角錐の小麦粉で包み揚げたもの)など、美味しそうなものを店先で揚げているので、通るだけでワクワクです。
   
   さくさくとした揚げたての味は今でも忘れられません。
   
●ヨーグルト
   ネパールでは美味しいものをたくさん戴きましたが、一番印象深いのはヨーグルトです。
   
   ネパールのヨーグルトは「ダヒ」といって、水牛の乳から作ります。
   
   首都カトマンズで暮らしていた時、近郊の村から朝早くダヒ売りが来るのに度々出会いました。直径20センチくらいの素焼きの皿にヨーグルトが入っています。その皿を天秤棒の先にいくつもくくりつけて、朝もやの中をおじさんが売りにきます。
   
   私たちは直接買ったことはありませんでしたが、知り合いの家に招かれた時に、このダヒをご馳走になりました。
   滑らかな舌ざわりで、すっきりした甘さ。今までに味わったことのない美味しさでした。
   
   あまりの美味しさに、何回も「ミートツァ!!(ネパール語で美味しい)」を連発して、供されたダヒを完食。できればお代わりしたいくらいでした。
   
  もちろん、お料理も美味しかったので、私たちは大満足で、食べ終えた後、何度も何度もお礼を言って、そのお宅を辞しました。
 
●食を知る
   屋台も含め、現地に住むお宅で、その家の食事をご馳走になるのは、何といっても楽しいです。
   もちろん、日本人の私達に合うように、少しは味の調整をしているかもしれませんが、基本的に彼らが、どんな食材を使って、どんな物を食べているか、それがよくわかります。
   
   そこにそれら食を扱うその国の人々の文化が垣間見えます。
   「郷に入っては郷に従え」の言葉通り、まずはその国の人々の「食」を知り、ひいては暮らしを知り、文化・習慣を知り、考え方を知り、自分の国とは違う人々を理解していくことが、草の根の相互理解となる。
   
    自分達と異なる国の人々を肌感覚で知る、それこそが多様性を理解する上での第一歩となると思います。