戦争を語り継ぐ

 

 

 

   今日は朝からよく晴れて気持ちの良いお天気になりました。日射しが強く、動くと汗ばむような陽気でした。
   
   ベランダ菜園で育てているパプリカに沢山実がついてきました。まだ緑色で色づいてはいないのですが、艶のある良い色になっているので収穫が楽しみです。

 

  
   散歩道には真っ赤な燃えるような色の百日紅が見頃を迎えて綺麗です。太陽の日射しを浴びて輝くようです。
   白いムクゲの花が青空に映えて綺麗です。暑いときでも涼やかに咲いていて素敵ですね。
   空には積乱雲が浮かんでいて、夏の様相です。

 

 


   
 

●親から子へ「物語」で伝える戦争。
   青葉学園物語という本で、昔夏の課題図書になったので読んだことがあるという方もいらっしゃかもしれません。
   
   事実や戦争から学ぶというのは、いうまでもなく大切なことですが、文字でまたこの戦争のことを知るというのは違った意味で戦争のことを教えてくれるそんな存在だと思います。
「桃は太陽のエネルギーを呼吸して大きくなるのだそうだ。太陽はみんなのものだから。したがって桃も」
   そういって桃を盗み食いする子どもたち。
   
●青葉学園物語
   1970年代から発刊された青葉学園物語シリーズは広島で暮らす養護施設の子どもたちの日常を描いた物語です。
   取材者が「桃の話は実際にあった話なんですか」と訊ねると
   
   児童文学作家の吉本直志郎さん(82歳)は
「そうです。先生に叱られましたけどね」

   制作者の吉本直志郎さんは父を亡くし、母が療養で長期入院していたため、13歳で施設に入所しました。
   当時、そこに原爆で親を亡くした戦災孤児らおよそ70人が暮らしていたといいます。
   
「今は“皆賀園”という大きな建物がありますけど、あの辺りに色々な寮が転々としていた」
   物語は山でワナをしかけて野鳥を捕まえたり、川で魚を捕まえたり、自然のなかで無邪気な子どもたちの姿が描かれています。
   
   直志郎さんは
「鳥を捕るワナを仕掛けて鳥を獲ったりして羽根をむしって食べたり、僕らは遊びほうけていたような感じ。毎日」

   物語の大半は子どもたちの愉快で楽しい日常。そうして明るい物語の間に戦争は時々暗い陰をおとします。子どもたちが連れ立って入ったうどんやさん。そこにいたのは原爆で孫を失った老夫婦でした。
   
終戦後、広島で暮らす養護施設の子どもたちの日常を描いた青葉学園物語。
おじいさんは眩しそうな目で子どもたちをみつめ、こうつぶやきます。

「たった7つじゃった。たった7つで死んでしまいよった。原爆でとられてしまいよった。体中にやけどを負ってのぅ。水くれぇ。じいちゃん、水くれ、ばあちゃん水くれ言うて」

   ただ吉本さんは戦争そのものではなく、あくまで普通に笑っていた子どもたちを描くことにこだわりました。

   吉本さんは
「テーマは表に出してはいけないが、僕の創作態度。戦争とか原爆とかはその背景にあることであって、小説そのものは人を描くことにつきる。戦争は人々に不幸をもたらすものだから、決してあってはならないのが僕の意見」

   一見愉快に楽しく読める話でありながら、戦争の怖さを学べる物語。こうした物語を子どもたちに語り継ぐ大切さを感じます。
   
   取材者も、青葉学園シリーズを読んだのが10歳の時で「青葉学園物語」を自分の子どもに読ませました。自分の子どもへ、またその子どもは自分の子どもへと読み継がれていくのがいい本なんだろうと思います。
   
   吉本さんも
「そういうふうに親から子へ読まれ続けていくとしたら幸せなこと」と言います。

●終戦から81年
   今年、終戦から81年たつなか、戦争体験者は大きく減っています。今や戦争を知る世代は総人口の1割になりました。
   
●戦争の記憶の伝承
   戦争の記憶の伝承が大きく課題となるなか、大切な役割を果たしているのが子ども向けに書かれた児童文学です。
   
   今も多くの人が読み継いでいます。
   東京港区の図書館でも毎年、戦争文学を展示しています。
   こうした活動を行う意義を活動の担当者は
「活字だと自分の頭で考えてより深く知ろうという頭になるので、子どもの時にこういうものに触れてもらいたい」と言います。

   こうした催しを行う意義を高輪図書館分室の星野雅俊室長は
「動画やユーチューブなどが増えているので、本を手にとる子どもが減っている。画面では伝わらない。実際に手に取ってページをめくることによって、心の残り方は変わってくると思います」と言います。

●読み継がれる「戦争の記憶」
   本となって読み継がれる戦争の記憶。
   青葉学園物語の中にこんな印象的な場面があります。
   
   原爆で孫を失った老夫婦と出会った子どもたち。
   老夫婦の体験を聞いた一人は自らも経験した原爆を思い起こし、こうつぶやきます。
   「いつもはわすれてしもうとる。じゃがわすれてしもうてええんかのう」
   
   戦争児童文学というテーマであったが、恐らく吉本さんは
「テーマというのはあえて設けない。テーマは読み手が受け取って設定すべきものだ」

   取材者は、本は決して戦争をテーマにしたわけではない。その代わり、あの時代を生きた子どもたちを生々しくみずみずしく、きっちりと描くことで多くの子どもたちにささったと思います。
   大人になって読み返したら、また違ったメッセージを受け取るということで、やはり文学というのは記録や事実とは違う戦争に対する問いかけをしてくれるものです。
   
   戦争体験者の数が減っていくなか、あらためて本を通じて子どもたちにあの時代に何があったかを伝えていくことの大切さを感じます。