断水、井戸の活用
能登半島地震から3週間がたった。
いまだにインフラが復旧せず、断水や停電が続いて、被災されている方は、寒いなか大変不便な生活をされている。
とくに、断水の影響が大きく、今日現在で4万9千世帯が断水状態にある。
●耐震率
飲み水に関しては、支援物資や給水などにより、何とか確保できているようだが、被災者の方が一番困っているのは、洗濯やトイレなどの生活用水だ。
降った雨や、崖から流れる水をバケツに貯めるなど、それぞれに工夫しながら何とか凌いでいるようだが、抜本的な解決は、水道の1日も早い復旧だ。
震度7の大地震。しかも、能登半島では断層が150キロにわたってずれるほどの大きなエネルギーが働いたため、水道管の損傷が各地で起きた。
地震の予知は難しいが、備えることはできる。
だが、その備えが十分ではなかったため、被害がここまで拡大した。
阪神淡路大震災以降、耐震基準の見直しが行われた。
水道管も耐震化が進められたが、2021年の段階で、導水管や送水管など「基幹管路」と呼ばれる水道管の耐震適合率は、全国平均で41.2%にとどまっている。
この比率は地域によりかなりバラツキがあり、25~75%の開きがある。
石川県は36.8%。東京都は66.0%。
今回の地震では、この耐震率の低さが、被害の拡大を招いたといえる。
●老朽化
今使われている水道は、大半が高度成長期に作られたもので、老朽化が進んでいるため、本来であれば、補修していかなければならない。
だが、地方ほど人口が減少しているため、水道を使う人が少なくなっていて、水道料金の徴収額が減っている。さらに、水道を管轄する自治体の財政も厳しい。
その上、人手不足も加わって、耐震化がなかなか進んでいないのが現状だ。
さらに、過疎化の問題がある。
地震が起きたその土地に、今後どれだけの人が住み続けるのか、そうした事も含めて、総合的に耐震化計画を立てていく必要がある。
●井戸
地震が起きたあとでも、井戸はあまり影響を受けず、使えることが報告されている。
東日本大震災の東北6県261の井戸について調べた結果、「従来通り使用できた」のが81.6%にのぼる。「障害が現れたがその後使用した」の13.0%も加えると、井戸はほとんど損傷を受けず、利用可能な事がわかった。
●防災井戸
災害時に、井戸は助けになるとの認識で、自治体によっては積極的に防災井戸を作る動きもある。
例えば、東京都杉並区。
区民センターの隣の公園に、防災井戸が設置され、だれでも自由に使えるようになっている。停電時にも使用できるように手押し式のポンプだ。
また、災害時には地域の人が利用可能な、個人の井戸がある家の登録を行っており、現在300カ所以上あるという。「井戸協力の家」として、防災マップで確認できるようになっている。
それぞれの自治体でこうしたマップはホームページに掲載しているので、一度確認しておくと、いざという時に役に立つだろう。
今回の地震で、災害時の水は、非常に重要だということがあらためて浮き彫りになった。
各自でやれる事はもちろん、自治体レベル、国レベルで水の確保について、真剣に考え、出来ることを速やかに進めていく必要があると痛感した。