目の健康

 

 

 

   現代は生活面でも仕事でも、目を酷使することが多い。
   とくに、乾燥が強い冬場は目にとっても辛い時期だ。
   
●目の健康寿命
   ジョンソン&ジョンソン(J&J)が2013年11月に調査した結果、日本人の目の健康寿命は2021年の64歳から、2023年には61歳と3歳も短くなっていることがわかった。
   
   目は五感のなかでも、とても優れた機能を持っている。
   約100万色を識別できるし、モノの大きさや距離を捉えるなど、人間が得る情報の約80%を視覚から得ている。
   
   にもかかわらず、目の不調を感じても眼科に行かない人が多い。
   
   目の機能は優れているので、右が見えなくなっても、左目でカバーしたりして、気がつかないことが多い。
   
   目が痒いとか、ごろごろするなど、違和感があっても、すぐに「眼科に行こう」とはならない。歯が痛いなら、すぐに歯医者に行くが、目はよほどの事がない限り、受診のきっかけにならない。
   
   前述のJ&Jの調査で、「1年以内に眼科を受診した」と答えた人はわずか28%だった。
   
●加齢とともに
   だが、実際には加齢とともに、目にもさまざまな症状が出ている。
   
   老眼は、症状の差があっても、40歳くらいからあるとされている。
   
   また、白内障は「目の国民病」ともいわれ、80歳以上の99.9%が発症しているとされる。視界が白くにごり、「かすんで見える」「まぶしく見える」など、見えにくくなる症状が出る。
   
   これは手術すれば治るので、視野がぼんやりしてきたなと思ったら、一度受診した方がいい。
   
●緑内障
   怖いのは緑内障だ。
   視野が徐々に狭くなっていく病気で、70歳以上の10人に1人が緑内障とのデータもある。
   
   これは現段階では、手術できず、最悪の場合は失明に至る危険性もあるので、要注意だ。
   
   失明を含む視覚障害の原因疾患としても、緑内障は40.7%を占め、他の目の病気と比較しても、断然に多い(厚生労働省、80歳以上対象)。
   
   緑内障は眼圧が高くなることにより起きるもので、視神経が弱くなり、発症する人がけっこう多い。とくに冬は血管が収縮しやすく、眼圧が高まるので、注意が必要だ。
   
   日常生活で気をつけることは、急に圧力がかかるような行動を避ける事だ。
   例えば、水分の一気飲み(目の房水の水分量が増えて、視神経が圧迫される可能性)、スマホを俯きで操作、うつぶせ寝、息を止めて力を入れるなど。
   
   治すことはできないが、日常生活で注意すれば、進行を止めることは出来る。
   
●ドライアイ
   冬は一番乾燥しやすく目に負担がかかり、ドライアイで悩む人も多い。患者は2000万人に迫るといわれる。
   
   エアコン、パソコン、コンタクトは乾燥を促進させる大きな要因だ。
   
   ドライアイは「目の冷え性」とも言われるので、手を擦って温めて、目を覆うだけでも、血流が良くなり、症状が緩和する。
   
●定期検査を
   目は「むき出しの臓器」といわれ、乾燥するだけで、目に傷がつく。目の不快感や頭痛、肩こりなど、目以外の不調の原因になることもある。
   
   目は大切な臓器なので、何かあってもすぐに補完してしまう。
   右目が見えなくても左目でカバー、視野が欠けてきても脳が見えているかのように補う。
   
   最も重要であるからこそ、ちょっとした不調を感じにくく、「大丈夫」と思ってしまうが、現代は目をすごく使う生活なので、十分に注意しなければならないと、専門家は言う。
   その意味で、定期的な検査は必要だと言う。
   
●目を口ほどに
   目の検査は、目の血管を直接見ることが出来るので、目以外のさまざまな病気の発見が出来るという。
   例えば、動脈硬化や高血圧、脳梗塞など、重要な病気の早期発見だ。
   
   目のまわりの状態や見え方に少しでも違和感がある場合は、放置せず、受診することが大事だ。
   
   最近、高齢者の交通事故が多いが、約8割が、目で見えていても、脳が認識出来ていないことによる「発見の遅れ」だと言う。
   これは、トレーニングにより鍛えられるので、検査とともに視力や理解能を上げておくことも必要だ。