ウォーキング

 

 

 

   健康のために歩くことは良いと言われているが、具体的にどのような効果があるのか?
   最近の科学的研究が「歩く」効果を示している。
   
●日本人は座りっぱなし
   シドニー大学が、世界20の国と地域を対象に調査した結果、座る時間は平均約5時間。日本は約7時間で、世界一の「座りっぱなし」国民であることが明らかになった。
   
   日中の座る時間が2時間増えるごとに、死亡リスクが15%増加するというデータを京都府立医科大学が発表している(日本人6万人超対象)。
   
   アメリカ国立がん研究所でも、1日の平均歩数が多い人ほど死亡率が低いとの調査結果が出た。
   
   一方で、職業別の1日当たりの平均歩数を調べると、サービス・販売・飲食など、かなり歩き回っている印象の職業でも1万歩未満だ。事務職系は5千歩に届かない。
   
   歩くことは良いとわかっていても、意識しないと、なかなか歩数は稼げないことがわかる。
   
●筋肉を鍛える
   歩くことが何故、体に良いのか?
   
   人間が動くには筋肉が必要だが、その筋肉の6~7割が下半身にあると言われている。
   だから、歩くことは、それだけの量の筋肉を動かし、鍛え、筋力と持久力をアップさせることになる。脂肪も確実に消費される。
   
   血流も良くする。
   ふくらはぎの筋肉は血液を心臓に送り返す「第二の心臓」とも呼ばれ、その分心臓に戻る血液量が増え、全身に血液や酸素、栄養が活発にめぐる。
   
●病気の予防
   さまざまな病気の予防にも効果があることがわかっている。
   
   1.がん予防
   平均年齢59歳の144万人が協力したアメリカとヨーロッパの調査では、ウォーキングなどの運動で13種類のがんの発症リスクが低下した。
   
   2.糖尿病の予防
   カリフォルニア大学で高齢者女性5000人を対象にした調査では、1日4~5千歩からさらに2千歩増やすと、糖尿病の発症リスクが12%低下した。
   
   3.肺炎の予防
   1日1時間以上歩いている人は、30分の人と比べ肺炎の死亡リスクが10%低下することを、北海道大学が発表(65~79歳の日本人2万2280人、12年間調査)。
   これは、高齢者でよく見られる誤嚥性肺炎の予防にもつながる。
   
   4.認知症リスクの低減
   歩くことはさまざまな障害物への対応、筋肉を動かし、脳が活性化するので、認知症のリスク低減につながる。
   1日1時間以上歩いている人は、30分の人と比べ認知症発症リスクが28%低下する(東北大学、65歳以上の男女6900人、約6年間調査)。
   
   その他、高血圧の改善、腎臓病の予防、更年期うつ改善、さらに睡眠の質を上げる効果など、「歩く」ことの効果が科学的に実証されてきている。
   
●目標は?
   では、何歩くらいを目標にしたらいいのか。
   よく1日1万歩と言われるが、これはけっこう大変だ。
   
   だが、無理してたくさん歩く必要はないし、歩けば歩くほど、効果が上がるわけではない。
   
   京都大学とカリフォルニア大学のチームは今年、8千歩以上のウォーキングを週1~2回でも続ければ、まったく歩かない人と比べて、10年後の死亡率が14.9%低下するという研究結果を発表した。
   歩く歩数や頻度を調べても、10年後に心筋梗塞や脳梗塞などで死亡する確率はほぼ同じだった。
   
   その結果からすると、とりあえずは1日8千歩。
   しかも、これは朝、昼、夕方など、何度かに分けてもいいそうだ。とくに、食後に歩くと、血糖値を下げるので効果的だという。
   
   私は朝と夕方の2回の散歩を日課にしているが、それでも5千歩くらいだ。家のなかや畑での歩きを加えても6千歩くらい。細切れの運動でもいいとの事なので、無理しない範囲で、少しずつ積み重ねていければと思う。