偶然の出会い
今は欲しいものが、何でもクリック一つで手に入る時代です。
洋服も、本も、家電や家具でさえ、店舗に行かず、ネットで購入できます。
簡単で便利ですが、物を探す楽しみがなくなったように感じます。
●本屋
学生の頃、本屋に行くのが楽しみでした。
探す目的がある時もありますが、時間がある時に、とくに当てもなく、ぶらっと店に入って見るのが好きでした。
最初は、店頭に平積みにされた本の表紙を眺めます。最新刊のものや、今評判のものが、うず高く積まれています。気になる本を2~3冊、手に取って、ぱらぱらとめくってみます。
ですが、ここで購入したい本に出会う事はめったになく、今の売れ筋がどんなものか、知るための「ちら見」で終わることが多いです。
その後は「ノンフィクション」のコーナーへ。
ここでは、個人の体験記、旅行記のほか、社会の問題を深く掘り下げたルポなど、興味深い本がけっこうたくさんあるので、気になるものを、片っ端から手に取り、目次から見ていきます。
旅行は好きだったので、見ていると欲しいものが、たくさん出てきます。でも、何でもかんでも購入するわけにはいかないので、読みやすさや値段など、何度も何度も見比べながら、迷いに迷いながら、1冊選びます。
文庫はお手軽な値段で、さまざまなジャンルの作品がありましたから、一番、時間をかけて、見ました。文学作品だけでなく、エッセーや歴史など多種多様で、見ていると、いくら時間があっても、足りないくらいです。
流行作家の作品も、文庫なら、安いので、「試し読み」のような感覚で、1~2冊買ってしまいます。
大学時代は、専門書も見ましたが、こちらは値段が張るし、絶対に役立つものでないと、手が出せないので、ほとんど見るだけでした。
新書もあるテーマについて、それぞれの角度から切り込んだり、わかりやすく解説したものがたくさんありました。歴史や科学、人生についてなど、さまざまあるので、目移りしそうなくらいです。
比較的薄くて、持ち歩くのにも便利なので、時折、購入しました。
●発見する喜び
こうして、本屋のなかを歩いていると、すぐに1時間くらい経ってしまいます。
そして、購入した新しい本のページを、期待しながらめくります。この時が、一番わくわくする瞬間です。
ですが、期待したほどの内容ではなく、がっかりする事もしばしば。
逆に期待していなかったのに、引き込まれるように一気に読んでしまうような本に出会うこともあります。
そんな機会は、10冊に1冊くらいですが、迷いながら選んだ本のなかから、その1冊を偶然見つけた喜びは、とても大きいです。自分だけの宝物を発見したような気持ちになります。
●職場で
相方との出会いも偶然でした。
同じ職場でしたが話す機会は全くありませんでした。
入社1年後、ある企画を一緒に担当するようになって、話す機会が増え、知り合いました。
もし、この企画がなかったら、共に生き、さまざまな事を話す機会もなかったでしょう。ですから、この偶然は、たまたまかもしれませんが、かけがえのない偶然の出会いだったのです。
相方が逝って1年。ともに生きてこられた日々に、あらためて感謝の気持ちで一杯です。これからも、見守ってくれていると思うので、日々、精進していきたいと思います。