IOCは対コロナに貢献を
多くの国民が中止や延期を望む中、IOCおよび日本政府は、そんな声に一度も耳を傾けることなく、五輪開催を強行するようだ。
緊急事態宣言下での五輪という、人類史上初の大会。開催そのものが、緊急事態となっているのに、「安全・安心」という、絵に描いた餅のようなスローガンを掲げて、突き進んでいる。
来日しているバッハ会長は、五輪開催を心配し、不安に思っている日本国民の気持ちをさかなでするような発言を、たびたび繰り返し、物議を醸している。
●「第5波」
五輪が開催される1都3県の新型コロナウイルス感染者数は、増加傾向にある。五輪が近づくにつれ、収まるどころか、逆に増えている。
東京都は14日から昨日まで、5日連続の1000人超え。
神奈川県、千葉県、埼玉県も、じわりじわりと感染者数が増加している。
専門家は、変異型のデルタ株の影響を指摘。さらに、五輪に加えて、夏休み、お盆の帰省など、人の移動や人出の増加が確実に予測できる状況で、現在の増加傾向は、「第5波」に入ったと言ってもよいとの発言。
●無観客
感染者が予想以上に増加し、東京都に緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況になり、やむなく、1都3県は「無観客」での開催となった。
当然の決定だ。
だが、これにより、日本側に入る予定のチケット収入約900億円がなくなってしまった。
もちろん、準備や建物の建設にも膨大な費用がかかっているから、日本側は大赤字。
一方のIOC。
たとえ、無観客でも、五輪史上最大とも言われる放映権料が、懐に入る。バッハ会長以下、IOCが開催に躍起になるのは、このためだ。たとえ、無観客でも、開催すれば、IOCには収入が入るので、観客の有無は、問題ではない。
●世界からの支持
東京五輪に対して、日本国民の支持が多くないのは、世論調査で明らかだ。
一方、世界の国々や人々はどう考えているのか?
13日、発表された調査(IPSOSの調査)
世界28カ国を対象としたアンケート(平均)
「開催すべき」 43%
「開催すべきでない」 57%
コロナ禍での五輪開催には、世界の国(人)も、疑問を抱いていることがわかる。
こんなに世界各国からの支持を得られない五輪は、おそらく史上初だ。
●アスリート
本来であれば、中止すべき大会であった。
だが、現実には開催の方向で決まってしまった。
こんなに、みんなからの賛同を得られない状況では、参加するアスリートも気の毒だと思う。
もちろん、一人一人のアスリートは、どんな状況でも自分のベストパフォーマンスを発揮できるように、日々厳しい練習を続けてきていると思う。4年に一度の晴れ舞台を夢見て、それぞれの目標に向かって努力を重ねていると思う。
でも、アスリートたちだって、本来は、みんな(国民全体)が心の底から、五輪の開催を歓迎し、精一杯の応援をし、その成果を讃えてくれる環境で、自分の力を発揮できるなら、もっと気持ちよく出来るのではないかと思う。
●IOCはコロナ対策に貢献を
今や、東京五輪自体の意義は、なくなってしまった。「復興五輪」も「新型コロナウイルスに打ち勝った証」も「安全・安心な大会」もすべて。
それなら、せめて、IOCはこのコロナ禍に開催した五輪が、少しでも世界のみんな、大げさに言えば、人類に役に立ったといえるような意義を、作って欲しい。
そこで、個人的な要望だが、膨大な額にのぼる放映権料の一部でも、WHOに寄付して、コロナ対策(ワクチンや治療薬開発など)に貢献するような道を作って欲しいと思う。
東京五輪は、コロナ禍で大変だったが、それでも、その収入の一部が、コロナ対策に回ったとなれば、少しは救われる思いがするのは、私だけだろうか?