八村選手のDNA
世界最高峰のプロバスケットボールリーグである米国『NBA』のドラフトで、富山県出身でゴンザガ大学の八村塁(21)が、1巡目の全体9位でワシントン・ウィザーズから指名された。日本人初の快挙だ。
日本ではドラフト会議のあった日、朝早くからテレビ各局がこのニュースを軒並み伝え、夕方から夜の番組でもほとんどがトップ扱いで報道した。伝えるキャスターも大興奮で、みんな「すごい!すごい!」の連発だった。
わかる。わかります。そのすごさが。
八村選手の満面の笑顔、インタビューも素直で明るい性格がよく出ていて良かった!
今回の報道で驚いたのは、なんとバスケットボールはプロアマ問わず選手登録してプレーをしている人の数が世界で約4億5000万人と、あらゆるスポーツのなかで最も多いそうだ。私はサッカーかと思っていたけれど、その競技人口は約2億9000万人だ。
その約4億5000万人の中で、最高峰のNBAの選手はわずかに450人のみ。さらに、ドラフト1巡目で選ばれるのは30人と、ほんの一握りの存在となる。いかに1巡目で指名されたことがすごいことかがよくわかる。
八村選手は小学校時代では野球をやっていたそうだが、その時から類まれな体格と運動神経には指導していた先生もびっくり。ピッチャーだったらしいが、投げるボールが速くて重いため、誰も捕れなかったそうだ。
八村選手が世界のトップ30に選ばれるまでになるには、もちろん本人の並々ならぬ努力と指導にあたったコーチの熱心なサポートがあったからに他ならない。
●DNAのちから
しかし、みんなが歓喜しているニュースに水を差すつもりは全くないが、彼がここまでのレベルになったのには、両親から受け継いだ身体があったからだと思う。身長203cm、長い手足、しっかりとした筋肉とバネ。父親がアフリカのベナン人、母親が日本人。
やはり日本人同士のカップルからは望めないDNAの力がある。ハーフだからこその力(ちから)だ。
もちろん、日本人の両親からだってすごい選手が出てくる可能性がないわけではないが、確率としては残念ながら低いだろう。
でも、八村選手がこうして脚光を浴び、世界で活躍していくことは、同じ日本人として素直に嬉しい。
ハーフといえば、先日、陸上100mで9秒97の日本新記録をだしたサニブラウン・アブデル・ハキーム選手もガーナ人(父親)と日本人(母親)のハーフだ。彼の走りをみていると、まだまだ伸びしろがありそうで、楽しみだ。
●多様性を持とう
こうした人たちが成長し、世界で活躍していくことは嬉しいし、これからも応援していきたいと思う。
さらにハーフの人たちの活躍は、今はあまりないと思うが、日本人が持っているハーフに対する偏見などを失くすことにもつながるのではないかと、そうした面でも期待したい。
彼らの活躍を願うとともに、日本人がみんなが多様性を受け入れる大きい日本人になって欲しいと心から願う。
歌手のアンジェラ・アキさんが、徳島に住んでいた頃いじめられていた事を悲しそうな顔で話していたのを思い出した。