今日は完治というゴールに向かって患者さんと共に歩くことの難しさについてお話をしたいと思います。
医学部では5年生から臨床実習が始まります。これは病院内のそれぞれの科(例えば、内科、産婦人科など)で医師の指導のもと臨床現場で使われている身体診察、治療や手技などを勉強する実習です。ずっと講義室の中で机やモニターに向かっていた4年生までと違い、医師の先生方と距離が近く、教科書では学べないような様々なことを教えていただけます。今回の記事でもそちらに関してお伝えしますね。
タイトルにある外科のO先生とはあることをキッカケにとても仲良くさせていただきました。そのため、つきっきりで手術現場や内視鏡での治療を見学させてもらい、これまで教科書で学んできたことの知識がさらに一段と深く理解できました。その学生想いの先生との会話で印象に残るものがありました。
先生「〇〇くん、いま受け持っている患者さんは△△という病気だけども、行うべき治療はどんなものだと思う?」
ぼく「ガイドラインで推奨されている治療がいいと思います。」
先生「そうだね。推奨されているということはそれだけエビデンスがあるってことだもんね。でも、患者さんにはそれぞれ疾患背景、家族背景があるよ。例えば、認知症を患っていたり一人暮らしの場合。我々医師は患者さんの背景をしっかりと理解した上で、退院後やその先の生活を想像しながら今の治療を行なっていかないといけないんだ。だから、△△さんの治療はガイドラインではこうなっているけども、優先すべき治療はこれではないんだよ。」
正直、目からウロコでした。医療のイメージはガイドラインなどの基準に則ったシステマティックなものであると思っていたので。実際の現場では医師の裁量が大きく、かなり泥臭そうなものであることに驚きました。
そんな患者さん想いの先生がポロッと漏らした言葉がこのブログを書くキッカケになりました。
先生「昨日、手術した患者さんとさっき会ってきたよ。手術は大成功だったんだけどね。しなければよかったと言われてしまったよ。よっぽど手術後が辛かったんだろうね。けど、あのまま放っておいたら大変なことになっていたから。これからの治療成績で示していくしかないね。」
患者さんのことを第一に考えてる先生でも患者さんに寄り添うのはこんなに難しいのかと。医師と患者さんの心の距離。医療が発展すればするほど、患者さんには全く理解できなくなる。こんな知識や心の空白を埋めるための情報発信をしていければなと思います。