【レビュー】マリシアス
▼ネーミングセンスはない。覚えにくい。▼
とんでもない完成度
アルヴィオンがPS3向けに、2010年10月27日にダウンロード専用タイトルとして配信を開始した「マリシアス」。
「灰の外套」というマントを様々な武器に変化させて、敵と戦うアクションゲーム。
最初から最後まで”ボスを倒す”というゲーム性だけを追うことになる。
大量に沸いて出てくる雑魚キャラを倒すとオーラというポイントがもらえる、そのオーラのポイントをうまく使って攻撃をしていく。オーラを使って出来ることは基本的に回復、強攻撃、オーラ開放の3つ。
オーラを開放すると攻撃力・防御力が増大するが、オーラのポイントが一気に減っていきゼロになると攻撃力・防御力が元の状態に戻る。そのためオーラを開放している間、雑魚キャラを倒しポイントを減らさないように注意しながら、ボスにも有効な攻撃を与えていく必要がある。
ゲーム中、重厚なストーリーが語られることはない。
ストーリーは主人公が戦う理由と、なぜその能力を持ったのかということだけを説明するのみで、申し訳程度にとってつけた感じ。
おそらく世界観などは、こと細かく決めてられていそうな感じはするのだが、ゲーム中にその世界観までを語られる場は設けられていない。
キャラクターは話をせず、文字とゴニョゴニョと話すラップ音だけ。たまに主人公が「うぉおおおお!!」と叫びはするが、特に話しをすることはない。
だがキャラクターは結構立っており、敵ボスには個性があり魅力を感じる。
グラフィックはすばらしい。
目を見張るような美しさの本作。とにかく見た目の美しさなら海外作品にも負けない勢い。
日本人好みのキャラと、美しいく色鮮やかな背景。個性あふれる敵ボスのデザインは、絶対にダウンロードソフトとは思えないようなできばえ。
背景グラフィックは油絵のようなタッチに仕上がっている。キャラクターはトゥーンレンダリングで描かれており、ぬめぬめ動く。
敵が多いと若干フレーム数が下がることもあるが、ここまで重そうなフィルターを使ってるののにも関わらずぬめぬめ動いているのに驚き。
主人公のモーションはそこまで多くないのに、なぜか敵ボスのモーションだけは豊富に用意されている。敵ボスの必殺技のムービーカットはどれもカッコイイ。
音楽は良い。
戦闘音楽は脈同感にあふれ、聞いていても聞き飽きない。
何も入れない。何も足さない。といった不純物の少ない音楽で、シンプルイズベストといった感じがする。
操作性は爽快感にあふれるが課題点も多い。
まず戦闘中で評価できるのは、スピード感あふれる操作性と、レスポンスの良さ。
アナログスティックを倒しただけで一気にフィールド上を駆け巡ることができスピード感にあふれる。また壁にぶち当たってもお構いなしで壁を自動で駆け上り、障害物があっても自動で軽々越えていけるのは操作していて気分が良い。平面方向だけでなく垂直方向にも自由に移動することが可能で、ゲーム序盤は3段ジャンプ。終盤にいくと6段ジャンプまでが可能とる。
また、防御やカウンターのレスポンスが極めて良い。
それに対して課題点は、スピーディすぎてシビアな操作がしにくいこと。そして操作性に深みがないことの2点だ。
アナログスティックを倒すだけで高速移動が可能なスピード感あふれる操作性はいいのだが、高速すぎてシビアな操作が出来ない。高い塔のてっぺんから敵に集中砲火を仕掛けたり、敵ボスをよじ登りながら攻撃したりと、シビアな操作が必要な場面が多く存在するのにもかかわらず、スピードが出すぎてしまい地面に落ちてしまう。
また、攻撃アクションは簡単でコンボも決まりやすく、序盤に使える遠距離攻撃のみならず、近距離攻撃も多数用意されているのだが、駆け引きが少なく攻撃がワンパターンになってしまいがち。その2点を改善してほしかった。
このゲームで一番困ったのはチュートリアルが存在しないこと。ゲーム全般とりあえず説明がない。説明に関してはゲーム中盤以降、わずわらしく思えてくるのでなくてもいいと思うが、ゲームの操作性が全く分からない序盤に、ほとんど操作の説明がないのは、ちょっと厳しい。時々画面の端に小さく操作説明が出てくるのだが、すぐ消えてしまう。個人的な話だが、説明がなかったため、スタートボタンを押せば操作説明を見るという事実を知ったのはプレイ開始から相当時間がたったころ。
本作は ロード時間も存在するがダウンロード専用タイトルなので、そこまで長くない。
ちなみに、この作品の評価を地味に底上げしたのがシステム周り。
ロード中や、ゲームスタート時など非常におしゃれに作られており、普通なら「NowLoading」の一言で済ませてしまう部分でも、世界観を壊さないよう丁寧に作られている。
おしゃれなのはメニュー周りのみにとどまらず、戦闘中の画面配置などもしっかりと考えられている。ロックオン中の敵の体力が画面中央に表示され続ける仕様は慣れると見やすく、また自分の体力ゲージは存在せずプレイキャラクターの損害具合のビジュアルでダメージを判断できる仕様は分かりやすくて良い。
オリジナリティは低くはない。
冷静になって考えてみれば、この程度のゲーム性は専門学校生でも思いつくような内容。しかし、非常にレベルの高いグラフィックと、考え込まれたゲーム性。魅力的なボス敵によってゲームの価値を最大に引き出している。
ゲームを開始すると、ほとんどのマップが開放済みの状態から始まる。その中からユーザーの好きなマップを選ぶことが出来る。
一見親切なシステムだが問題も存在し、マップを1つクリアーするごとに、他のマップの難易度が上がるのだが、苦手なマップが最後まで残ってしまうと、その苦手なマップを相当な難易度でクリアーしなければいけなくなるため、完全に詰んでしまう。しかも、問題なのは初めてプレイした人では、どのマップが難しいのか判断着ないところ。難易度設定が存在すればよかったと感じた。
敵ボスのデザインには一貫性はないが、その一貫性のないところが魅力的。大作ゲームのおまけ要素に入っている”ボスラッシュ”のみをプレイしているような感覚で楽しめる。
総評してよく出来た作品。
磨き上げられて作らた勾玉のようなゲーム。綺麗に磨かれているため若干残った荒い部分がどうしても目立ってしまう。
全体を通してゲームバランス若干悪いように感じた。想像を絶する硬さを誇るボスキャラは倒すのに30分以上かかることも多々あり、先述したマップの難易度上昇システムも加わってしまうと難易度が高すぎてしまう。
30分かかってしまうと、単純作業の繰り返しにもなりかねなくなってしまい、もう少しボスキャラを弱くすれば全ての問題が解決するような気がした。
ただ、そのおかげでやり込み要素が楽しくなり、いかに効率よく倒せるか何回も挑戦したくなるような気持ちになれる。
敵ボスは巨大な兵器のような敵から人間の敵まで。様々な姿かたちのボスが登場する。ボスデザインはそれぞれ異なっており、動き方も変わってくる。全く違った動き方をするため、攻略法も変わってきて、非常に面白い。
ただもう少し、分かりやすくパターンにはめられると良かった気がした。ボスそれぞれに攻略法があるのだが、ボスが絶望的に硬いため、本当にダメージを食らっているのかどうか不思議になるときもある。
難易度が高いめ。
グラフィックや爽快感など魅力あふれる要素がてんこ盛りの今作だが、なによりも素晴らしいのが800円という驚きの価格。おそらく適正価格は1500円くらいで、3000円で売られていても不思議でない出来栄え。
この価格でこの内容はありえない。満足度は非常に高く、買ってよかったと思える作品。
今作はプレイする人を若干選ぶため、なかなか「絶対に買うべし!」と断言できないのが難点だが、800円でこの価格とこのボリュームは驚異的。ツボにさえはまれば相当やり込める作品ではあるので、やり応えのあるゲームに飢えていたゲーマーはぜひ手に取って遊んでみてほしい堅実な作りの秀作。
評価 .
ストーリー:≪5≫
グラフィック:≪9≫
音楽:≪8≫
操作性:≪7≫
オリジナリティ:≪7≫
満足度:≪10≫
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
総合:≪8≫




























